第二章  ― 5 ―

 (水でおなかが)

 水で、おなかが膨れるものではない。

と、よく言われているけど。今は、十分おなかが、いっぱいになって落ち着いた。


『これからどうなるのだろうか』


 今、何時かを調べるために、テレビをつけてみた


 「午後7時13分50秒をお知らせします」


 たっぷり、陽も落ちた時間だった。夜風は気持ちいいのだろうか。そんなこと思いながら、窓ガラスをスライドさせて開けてみた。

 開けた瞬間、雨が全身を狙っていた。

季節外れの暴風雨で、顔以外は、びしょ濡れになってしまった。


『どうなっているんだよ』


 目が見えなくなってから、耳がよく聞こえるようになったと思っていたが、まったく、そんなことはなかった。

 何一つ。耳からは、情報が入ってこなかった。心身ともに気持ちが高ぶっているせいなのだろう。ただ、気を遣えば、音を拾うことはできた。

 それでもすぐに、雑念と雑音が頭や顔を駆け巡り、すべての思考が止まってしまっているよう状態だった。



 (服を着替えないと)

 びしょびしょに濡れた服。

この時期では、簡単に乾くことはない。

そして、風邪をひくと面倒なことになる。と、思った。


『着替えよう』


せっかくだから、シャワーくらいは、浴びたいよな。と思った。


『部屋を徘徊した』


 いつも同じ場所に、服等を置いてあるので何となく徘徊すれば、服へたどり着く。かき集めた服を持って、風呂場まで手探りで進んだ。

 

『服を脱いで思った』


いつもなら脱いだ服を洗濯機に入れて、まとめて洗濯をしていた。

 ただ、この洗濯物は、一生洗われることはないんだろうなと思った。

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