第二章  ― 3 ―

 (突然砂嵐が吹き始めた)

 もう一度職場や、それ以外の状況を詳しく思い出そうとしていたら。

突然、深夜の放送休止中に映し出される砂嵐のようなザーザー音が、テレビから流れ始めてきた。

 そして、しばらくするとテレビからは、何も聞こえなくなった。



 (テレビのリモコンを探す)

 突然砂嵐となり。今は、うんともすんとも言わなくなってしまったので、テレビのリモコンを探し始めた。

 スマートフォンと同様に、ローテーブルの上にあった。テレビのリモコンとハードディスクレコーダーのリモコンは、縦長で意外と長さが似通っている。

ただ違うのは、チャンネルを変えるテンキーの位置が中央にあるのが、テレビ用。下側にあるのがハードディスクレコーダー用ということ。

 探し当てた、テレビ用のリモコンでチャンネルを変えてみた。

 1chから順に押してみた。しかし聞こえてくるのは砂嵐のザーザー音か無音だった。

 9chで、やっと砂嵐ではない音が聞こえてきた。


『うん? 聞き覚えがある』


 電話で確認ができる。時報サービスの音声だった。


 「午後3時25分40秒をお知らせします」


『涙があふれてきた』


 あれだけ知りたかった、今の時間を知ることができた。いくら文明が発達していても、太陽の位置をみることができなければ、今は、何時なのかなんて一切判らない。 

 暗闇になってしまった目では、時を知ることなんて、まったくできなくなっていた。

 このテレビ局は、放送を休止せずに、時報サービスを、電波に乗せてくれた。

 

『ものすごい、優秀な技術スタッフに感謝をした』


 時報サービスもテレビ局も、そして家のテレビも、電力の供給が止まらない限り、この状況が続いてくれるだろうと感じていた。


『少し安心したら、色々なことが思い出され不安になってきた』

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