第94話川・千家元麿:軽やかに生き生きと流れる

千家元麿の詩「川」を読みました。詩集「天炎」収録の一篇です。

国立国会図書館ジタルコレクション収蔵の詩集で読みみました。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/962477


千家元麿、一八八八年~一九四八年日本の詩人。

詩は河井酔茗に師事。一九三二年に室生犀星、佐藤惣之助らと詩誌『嵐』を創刊しています。詩集は『 自分は見た』『 野天の光』『 新生の悦び』『炎天』他


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  千家元麿


川、川

清い川

おまえは波立ち

楽しげに走ってゆく

笛のやうに歌い乍ら

曲がったり、真っ直ぐになつたり

少しも休まず

流れていく清い水よ

おゝ楽しげに軽らかに

みんなで躍り上がって障害物を越えたり

輪を巻いて踊ったり

狂うように激しく興奮して

先へ先へと笛を吹いて走って行く

美しい水の精よ

純潔に平静に

軽らかに屈託無く

楽しい旅をしてゆく川よ

走れ、走れ

足並み揃へて


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 この詩は、千家作詞、橋本國彦作曲で合唱曲になっていて、一九三一年に東京音楽学校編纂『新歌曲 第一輯』に掲載されました。


 私が中学生の頃、ですからもう何十年も前の話になりますけれど、合唱コンクールのために練習した曲で、印象的な歌でした。


  先日、ふと、この歌詞の一部を思い出したのですが、後半の部分がどんなだったか思い出せなくて、ネットで探していました。

その時、国立国会図書館デジタルコレクション で見つけて、歌詞の全部を思い出せたという経緯がありました。


 改めて、川という詩を読んでみると、なんだかとても、中学生が歌うのに相応しい、素直な詩だな、という感じがしました。


 悪気がないと言うのでしょうか。善良な、というのでしょうか。軽やかに生き生きと、楽しく走っている川の流れが、描写されているように思います。


 この川は、ゆったり流れる大河ではなくて、キラキラ輝く水しぶきを上げて、山の傾斜を流れているような、そんな印象を持ちました。

(記:2022-08-03)

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