第56話まざあぐうすハートのクイン・北原白秋訳:異国の饅頭はどんな味?
北原白秋訳の「まさあぐうすハートのクイン」を読みました、。
青空文庫で読めます。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001529/card546.html
マザーグース(Mother Goose)は、イギリスの伝承童謡で、子守歌や物語、ナンセンスな歌など古くから人々に親しまれ歌い継がれてきた童謡の総称です。
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ハアトのクイン
作者不詳 北原白秋・訳
ハアトのクインが
みんなできたよ 夏の日いっぱいかァかった。
ハアトの
こいつしめたとそっくりもってにげてった。
ハアトのキングが
そりゃこそたいへん、
ハアトの
まっぴら閉口してもういたしません。
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日本で言えば、わらべうたのように昔から歌い継がれてきた歌で、詩として読んで意味が通るものもあれば、はやしことばのように意味を成さない詩もあります。
ハアトのクインの詩は、ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』の中にでてくる裁判で、白ウサギがハートのジャックの罪状を読み上げる場面で出て来ます。
この詩は一七六二年に「ヨーロビアン・マガジン」という雑誌に掲載された詩の冒頭部分でした。
四連から成る詩で、原詩では、さらに、スペード、クラブ、ダイヤとお話が続いているそうです。
もともとはマザーグースに含まれていた詩ではなくて、『不思議の国のアリス』が評判になり、有名になったため、後にマザーグースのひとつに加えられるようになりました。
北原白秋の訳で面白かったのは、焼菓子のタルトを「饅頭」と書いてタアトと読ませている点。明治時代にはまだ洋菓子は一般的でなかったためなのでしょうか。
この時代の子供が、この詩を読んだら、異国の饅頭とはどんな味がするのか、食べてみたいと憧れたかもしれませんね。
(記:2016-10-28)
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