第30話オリュンビア祝勝歌第8歌・ピンダロス:古代オリュンビアの華やぎをしのぶ

 

ピンダロスの「オュンピア祝勝歌第八歌」を読みました。

西洋古典叢書『祝勝歌集/断片集』ピンダロス・作、内田次信・訳(京都大学出版会)に掲載されている一篇です。


リオオリンピック(二〇一六年八月現在)も終盤ですね。日本人のメダルラッシュに感動しながらテレビを見てます。


「オリンピックは参加することに意義がある」とは近代オリンピックの始祖、クーベルタン男爵の言葉ですが、いつの頃かメダルを獲得することばかりに目が向いているようで、今回は国ぐるみのドーピング違反の問題も浮き上がってきました。


クーベルタン男爵は「美しく負けるのも大切だ」とも言っているそうです。


ピンダロスは紀元前の古代ギリシアの詩人です。

オリンピックの起源になった、オリピュア競技の祝勝歌を多数書いていることで有名です。


二〇〇四年のアテネオリンピック のメダルには、ピンダロスの詩の冒頭一節が彫られていたそうです。


 優勝者のドーピング違反で、後に繰り上げ金メダルを受賞した、ハンマー投げ室伏広治選手が、記者会見で日本語訳を紹介して知られました。


「黄金の冠を戴く競技の母オリピュアよ 真実の女王よ!」ではじまる詩は、オリピュア祝勝歌の第八歌だと言われているのですが、室伏選手が紹介した一節と、今回読んだ内田次信氏の訳とは少し違っていました。


原本はギリシャのドリス方言で書かれていて、それを日本語訳で読むのですから、訳者によって文言が違うこともあるのでしょう。

九連からなる長い詩で、古代ギリシャの知識を何も知らない私には、内容が上滑りしてしまって、分かるようなわからないような状態でした。


 でも、賛歌なので心地よい言葉、勇ましい言葉が並び、心躍るような感じです。

第八歌は、アイギナのアルキメドンのためにという副題がついていて、少年レスリングの優勝者に捧げられた詩です。


 古代オリピュアも優勝者の名誉は大きなものだったのでしょうね。

詩は優勝者をたたえるだけでなく、祖国やトレーナーや家族への賛辞にまで及んでいます。


 当時の詩は、文章だけではなく、詩と音楽と舞踊がセットになっていたそうですので、華やかに盛大に優勝セレモニーが行われたのだろうと想像しました。

(記:2016-08-20)

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