第17話大漁・金子みすゞ:命を食べるということ

金子みすゞの「大漁」を読みました。一九二四年発表の詩です。

『日本童謡集』(岩波文庫)に掲載された作品が注目を浴び、金子みすゞの代表作と言われています。


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大漁

        金子みすゞ


朝焼小焼だ

大漁だ

大羽鰮おおばいわし

大漁だ

浜はまつりの

ようだけど

海の中では

何万の

鰮のとむらい

するだろう。


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 魚も獣も食物も、人間は命を消費せずには生きて行けません。


豊富に食べ物があることが、生きるのに必要なことであり、生活の手段でもあります。

鰮が大漁に獲れたら、町はお祭りのように活気づき賑わうのです。


でもそれは、人間が食物連鎖の上位に位置しているからこそ。普通の人間は獲られる鰮の命なんかには思い至りません。


  得る者があれば、それによって失う者がある。生きる者があれば、それによって死ぬ者もある。


 詩人の目は生きる者すべてに平等に注がれています。


私達は小さな命を食べないでは生きて行けません。その小さな命に思いを寄せて、慈しむ心は持ち続けていたいものです。

(記:2016-07-28)


参考:ユーチューブ 歌「大漁」

https://www.youtube.com/watch?v=SlsUobFHsI0

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