第7話

初めてのデートは、動物園だった。

待ち合わせより10分早く着いた自分に、案外、彼女とのデートが楽しみだったのだと苦笑いを浮かべた。

彼女は時間5分前に来ると、俺の姿を見てビックリした顔をしていたっけ……。

小走りに走り寄り

「ごめんね!待たせちゃった?」

と、俺の隣に並ぶ。

並んでみて、思ったより小さくて驚いた。

「じゃあ、行こうか?」

って歩いて動物園に向かって歩き出す。

しかし、計画性の無い俺と彼女。

行ったら見事、動物園は休演日だった。

『休園日』と書かれたプレートを前に、彼女がポカンっと口を開けて呆然と立っていた。

まぁ、どちらかが休園日を調べれば良いだけなんだけど、見事にどちらもしなかった俺達。

彼女の真っ白になった姿が面白くて、それだけで来た価値はあったと思った。

結局、映画を見て喫茶店に行ってバイバイしたのだが、彼女のクルクルと変わる表情が可愛いと思った自分に苦笑いしてしまった。

『好みのタイプじゃない』と一度振った彼女は、どんな俺を見せても決して否定しなかった。

「どんな長塚君でも、私は大好きだよ」

俺を大好きだと語る瞳が、俺を愛おしそうに見上げる。

女の子は、好きになるとみんなそうなんだと思ってた。

俺が方向音痴でも、朝が弱くてぼんやりしていても、そんな俺が大好きだと彼女は笑ってくれた。

「完璧な人間なんていないし、むしろ人間味があるよ」

と笑ってくれた彼女に、救われていたのだと気付いたのは別れた後だった。

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