第5話

そんなギクシャクした中で月日は流れ、バレンタインになった。

なんとなく、数名の奴等がソワソワしている。

彼女にチョコ欲しいアピールをしていた奴等も居て、彼女はチロ○チョコをみんなに配っていた。

俺は仲良しでは無い為、チロ○チョコは貰えないだろうと考えている自分に苦笑いを浮かべていると

「田上、これ好きだって言ってたよな」

前に彼女の隣の席だった寺島が、チョコでキャラメルとナッツをコーティングしたスニッカー○を手渡した。

「え?これ、どうしたの?」

「駅で配ってた。やるよ」

「わぁ!ありがとう!良いなぁ~、駅を使うとスニッカー○が貰えるんだぁ~」

と答えながら

「はい、お返し」

そう言って、チロ○チョコと幾つかのお菓子をそいつに手渡している。

(おいおい!バレンタインにチョコ配るとか、ある訳無いだろう!察しろ!)

心の中でツッコミを入れていると、星川が

「凄い人気だね、田上さん。なんか、佐野は田上さんからのチョコが欲しくて1,000円のギフトカードをプレゼントしたらしいけど、全く気付いてもらえなかったらしいよ」

と呟いた。

「結局、みんなと一緒のチロ○チョコだったみたい」

星川の言葉に(1,000円が10円とは、大暴落だな!)って思わず心の中でツッコんでしまった。

そして放課後になる少し前。

隣の席の子から、紙をこっそり机に置かれた。

田上の友達だったから『もしかして……』と紙を広げると

『放課後、図書室に来て下さい。田上』

と書いてあった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る