第4話加入
「ねー、本当に似合ってる?」
「はいはい、似合ってますよ。みそぎちゃん、かわいー(棒)」
「冷たーい。ねえ、速水ちゃんが冷たいよー」
「50回目ですよ」
「え?」
「あなたが髪のコメントを求めた回数です」
「うっ、うっ、今まで優しかった美琴ちゃんがこんなになっちゃって。おかあさん悲しいよ」
「いつからあなたは私のお母さんになったんですか」
私は今、あれだけ大切にしていた長髪をバッサリと切りショートカットにしていた。ちゃんと似合っているか不安なので私は美琴に意見を求めていたのだが……
あの後、私の生徒二人は無事ギルドにたどり着いたらしい。そして、ビキニ変態マスクは………………うん。私は即刻炎で死刑にすることを提案したが、美琴に却下されたので今はギルドにあずかってもらっている。
「にしても、用ってなんなんでしょうね。わざわざギルドに呼び出すなんて」
「うーん、あの件なんだろうけど」
孤児院を作るという提案は受け入れられたのだろうか。流石に子供が一人でクラスのは危険が多すぎる。
「こんにちは、三島さん。」
「何のようでしょうか。」
ギルドの代表者室に呼ばれた。「怪鳥」を討伐した以来のことなので、少しだけ緊張する。私達の目の前に座っている三島美里さんは岡山のギルド全体を仕切っている存在だ。体は小柄だが服の上からでも体が引き締まっているのがわかる。
「あなた達が連れてきた矢木里真美のことなんだけどね。」
「ああ、ビキニ変態マスクのことですか。」
「ビキニ変態マスク…………ぷっ。ハハハハハハハハハハ。ま、まさにピッタリの名前ね。」
ヒハッヒッヒッヒ。どうやら美里さんは私がつけたあだ名がお気に入りらしい。腹を抱えて、爆笑している。というか、笑い方が少し気持ち悪い。
「三島さんの笑い方、少し気持ち悪くないですか?」
「ぷっ、い、言っちゃダメだよ。そんなこと」
「笑ってるじゃないですか」
小一時間が経過。
「ええ、其れでは本題に入りましょうか」
「そうですね」
変態ビキニマスクが云々という話だったか。
「あなた達で預かってほしいの」
「「はい?」」
帰ろうか。そうですね。そんな会話を交わす。
「帰らないでね」
「一応、理由を聞かせてもらっていいでしょうか。私は殺しかねませんよあいつ」
「なにがあなたをそこまでさせるのかわからないけど、私達の方でも持て余してるのよ、あの変態」
モテアマシテル?
「そもそも今は警察もいないし、牢屋なんてなおさら機能してないでしょ?」
「だから、ギルドの方で牢を作るという話なのでは?」
「そうなんだけど……アイツ、意外と何もやってないのよね」
何もやっていない?
「ほら、もちろんうちの心が読める捜査官が聞き取り調査をしたんだけど」
ギルドに心が読める恩恵を持った冒険者がいるというのは聞いたことがある。
「誰にも手を出してないのよ、あいつ」
「そんなことあります?だいぶ戦い慣れてましたけど。私と互角でしたよ」
というか、子供たちに手を出そうとしてたしな。
「そう、其れなのよ」
「どういうことですか?」
「今のところ、ギルドが用意できる牢だと破られてしまう可能性が高いの。」
…………それに関しては間違いない。速水ならどんな牢屋でもすぐに脱出できるだろう。
「それでね、あいつを抑えられるのがあなた達ぐらいしかいないのよ。」
「嘘をつかないでください、私達よりも強い人、、、益子さんのとことか、峰さんのとことかどうですか?」
二つともSS級モンスター討伐経験があるパーティーだ。
「じゃあ、あなた達が代わりに各地で被害出してるS級モンスターを討伐してくれるの?金がなくなるまで働かないと巷で噂のあなた達が。」
そんな噂があるのか。ギルドに全然顔を出さないから知らなかった。
「その言い方には語弊があります。私はいつも家でだらだら昔のドラマ見てる禊と違って、毎日精力的に活動してますよ」
あ、裏切ったなこいつ。
「ちょ、確かに私は毎日家でだらだらしてるけど。禊だって、いつも鍛錬って言って筋トレばっかしてるでしょ?本当にギルドに行って仕事してるの?」
「何ですかー、やるんですか?少なくとも私は禊より仕事をしてる自信があります」
「生意気な、今消し炭にしてあげるよ、美琴」
私達二人は取っ組み合いを始めた。あ、右腕が力強い。
「力で私に勝てると思ってたんですか?禊ー、ほら今謝るなら許してあげますよ」
くそー、杖を構えるべきだったか。いや。
「美琴の方こそ、謝るなら今がチャンスだよ?そのきれいな髪を黒焦げにしたく無いでしょ?」
「ええ、ではお仕置きを執行します。」
「ふえうあーびうる(ファイアーボール)」
私は口に杖を咥えていた。
「あ、いつの間に。」
「とにかく!!!あなた達二人が矢木里真美を引き取りっていう話は納得したかしら」
ギルドで暴れまわった私たちは自分たちで黒焦げになる前に三島代表にこぶしで殴られていた。彼女は代表にふさわしい強さだったと言えるだろう。しかし、やりすぎじゃないのかおでこは今でもヒリヒリする。本気で殴られたんだなあ。
「「あい」」
もう、うなずくしかできない雰囲気だ。
「じゃあ、入ってきなさい」
ギルドの部屋の外からマスク変態ビキニが入ってきた。私達の話が終わるまで待機していたらしい。
「随分、長かったわね」
「ええ、あんたと意思疎通ができる気がしなくて」
「矢木里さんは何歳なんですか?」
返答はなし。気まずい雰囲気が三人の間で漂っている。ちなみに変態ビキニマスクは変態ビキニマスクの格好のままだ。視線が集まっているのを感じて少し気持ち悪い。
結局その日の進捗はなし。
パーティーメンバーが一人増える。
神川禊はこの世界に負けません!!! 絶対に怯ませたいトゲキッス @yukat0703
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。神川禊はこの世界に負けません!!!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます