第十四幕 40 『看破』
ーーーー ステラ ーーーー
私は、占星術師フォルトゥナと皆の戦いを、ただじっと見つめている。
武器による攻撃も、魔法による攻撃も……何れも彼女に当たることはない。
視覚で捉えている情報と、実際の結果に乖離が生じている。
これは一体どういう事か?
……幻術?
違う。
……認識阻害?
違う。
では、空間干渉?
それも…違う。
視覚、魔力の流れ、その他の五感もフルに活用して、私は敵の異能の正体を見極めようとする。
そうしている間にも激しい攻防が繰り返されるが、戦況は変わらず膠着状態。
しかし、このままでは済まない予感があった。
おそらく、余力を残しているのは占星術師の方。
こちらの連携に少しでも綻びが見られれば……そこを突いて、一気に均衡を破ってくるはず。
そうなる前に突破口を見つけるのよ。
あらゆる可能性を瞳に映し、それを読み解く。
それはパティエット様の眷族たる私にしか出来ないこと。
神界でパティエット様から教えていただいた、私の
究極的には、ありとあらゆる事象の『可能性』を視て、選び取り、具現化する。
これまでプラタを喚び出したりしていたのも……あらゆる可能性により枝分かれして重なる世界の、たった一つを選んでいたに過ぎない。
既に準備は整っている。
いまこそ、その力の本領を見せる時!!
『月女神パティエット様の眷属たる我、ステラが希う。日にありては陽の光よ。夜にありては月の光よ。数多なる星の巡りよ。運命を導き世の理を紡ぎ出さん。そして願わくば。この世に重なる無限の可能性、其を見通す瞳を我に授け給え』
神代語による祝詞を捧げ、私は
そして……私の瞳に映る世界が極彩色に彩られた。
……情報量が多い。
意識を集中して、必要なものだけに絞り込むのよ。
そうして、私はあらゆる世界の可能性の中から選び取っていく。
必要なのは占星術師にまつわるもののみ。
すると、極彩色だった景色から再び色が失われていく。
最後に残ったものは……
………
……
…
視えたっ!!!
これは……やっぱり!
彼女の異能の力は、私の
パティエット様から知識を授かった私には、それが分かった。
しかし、なんと表現すれば良いのか……それを言葉に表すのは難しい。
他者による観測と、その観測による事象の確定を断絶させ、改変している……とでも言うべきか?
あるいは、起こりうる事象の確率を無視して、望む結果に導いてる、とも。
もっと詩的に表せば『運命を操っている』。
カティア達の攻撃、占星術師の動き。
それらを観測した結果、最も確率が高い事象は『攻撃が当たること』。
だけど、本来であれば到底実現し得ない事象が占星術師によって選び取られ、『攻撃は当たらない』。
そんな事は、ごくごくスケールの小さな世界であっても起こり得ないこと。
世界の法則を捻じ曲げるような異能だ。
事実上、占星術師に攻撃を当てることは不可能。
……いえ。
私なら、出来る。
きっと、私が今この場にいる事こそが運命。
占星術師フォルトゥナ……あなたが操る運命の糸は、私が断ち切って見せましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます