第十四幕 15 『再会』
リュートと別れた私達は、王樹内部の階段をただ只管に下っていく。
よくこれだけ登ってきたものだ……と、改めて思いながら。
そしてようやく下りきってホールに到着すると……シェロさんが私達を迎えてくれた。
「皆様、お帰りなさいませ」
「ただいま。態々お出迎えなんて……どうしたの?」
メリアさんがそう聞くが、確かに私達を待っていた様子。
どうしたんだろう?
「お客様がいらしてます。私の判断で聖域にお招きしました。メリア様達が戻られるまで、応接室でお待ちいただいております」
「お客様?……今日は千客万来の日なのね」
ここは巧妙に隠された聖域だ。
普通の人間が存在を知っているとは考えにくいし……一体誰なんだろう?
と思ったけど、多分メリエルちゃんかな?
伝言をお願いしていたし、あの娘の能力ならここまで来ることも可能かもしれないし。
再び応接室に案内されると、そこには予想通りメリエルちゃんがいた。
そしてステラが一緒にいるのも、まだ分かる。
だけど、予想してなかった人物も。
「カティアさん!テオフィルス様!」
「カティア!」
「ルシェーラにシフィル……どうしてここに?」
二人が支援軍に志願していたことは父様に
「ウィラー王国の危機が回避されたのは非常に喜ばしい事なのですが……」
「勇んで支援軍に参加したのに、結局出番が無かったのよね。まぁ、国境付近はキナ臭い感じだし、まだ油断は出来ないんだけど」
「折角ですから、カティアさん達を迎えがてらメリエルさんの故郷を見てみよう、と。ロコちゃん達の飛竜籠でやってまいりましたわ」
あぁ、大森林の入口に置いてきた飛竜籠で来たんだ。
大森林結界も解除されて、飛竜で来ることも可能になったからね。
「そっか。そろそろイスパルに戻る頃合いだったから、ちょうど良かったよ。ここまで来れたのは……メリエルちゃんの力かな?」
「うん!森の木々に教えてもらったんだ!入り口まで来たところで、シェロさんが入れてくれたんだよ」
「……色々と驚きましたわ。この聖域もそうですけど……」
「メリエルに道案内されるってのが一番ビックリしたわよね」
「えへへ〜。もう以前の私じゃないよ!」
まぁ、そりゃあビックリするよね。
男子三日会わざれば……じゃないけど、メリエルちゃんは才能が開花してから成長著しいから。
……っと、メリアさんに二人を紹介しないと。
「あ、メリアさん、この二人は私たちの学友で……」
私達のやり取りをニコニコと微笑ましそうに見守っていた彼女に向き直って、お互いを紹介した。
「ふふ……みんな仲が良さそうでいいわね。しかし学校か〜……遥か昔を思い出すわね」
「メリアドール様も学校に通われていたんですか?」
懐かしそうに目を細めて呟いたメリアさんに、何気ない感じでルシェーラが質問する。
「……ええ、そうね」
彼女は短くそう答えた。
何となくそれ以上は聞いてはいけないような雰囲気を察したのか、ルシェーラも深くは追求しない。
多分……前世の事を思い出していたんだろうね。
同じく前世の記憶を持つ身としても、おいそれとは聞けるものではない。
そしてルシェーラは話題を変える。
「ところで、メリエルさんとステラさんには森都での事はお聞きしましたが……カティアさん達がこちらにいらしたのは、賢者様の関係ですわよね?」
「うん、そうだよ。実は……」
そして私は、ついさっきリュートから聞いたばかりの話を皆に語るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます