第十四幕 14 『リュートとの別れ』


「私からの話は以上だね」


「はい、ありがとうございます」



 リュートの話はこれで一段落したようだ。



 ここに来て一気に話が進んだ感がある。

 邪神の封印地の場所と、そこへ至る手段。


 しかし。



「……これからどうしようかな?」


「邪神……か。今はまだ封じられているが、それもいつまで保つのか。カティア達の話……『ゲーム』とやらに沿えば、近々復活してもおかしくはない、と」


「うん。封印が解けないように対策するのか。封印が解けたら打倒するのか。でも、どちらも私達の力でどうにかなるものなのか……」


 封印が施されたのは何百年……もしかしたら何千年も前の話だ。

 どのようなものかまるで分からないから、果たして再封印なんて出来るものなのか。


 封印が解けて復活した邪神を打倒すると言うのも……

 神の力すら凌駕するかもしれないと言われている相手を倒すと言うのも非現実的に思える。



 私達がそう思い悩んでいると。


「……これは私の全くの直感に過ぎないのだけど。カティアさん、君がその地に赴けば……きっと何かが起きる。私をここに遺したあとも、邪神を何とかする手立てを……きっとリュートは更に何かを遺したはず。そんな気がしてならないんだ」


「私もそう思うわ。きっとリュートなら……そう思う。あなたの魂の一部がリュートかもしれないと言うのも……彼が未来のために遺した策の一つ何じゃないかとさえ思えてきたわよ」


 リュートが真剣な眼差しで言い、更にメリアさんも同調する。


 確かに……【俺】が今、カティアとしてここに居るのは偶然ではないのかもしれない。

 遥かな昔に未来を憂いて行動した賢者が歩んだ道筋が、様々な運命と絡み合いながら……ようやく、この時代で終着を迎えようとしてるのかも知れない。

 楽観的過ぎる気がしないでもないけど……私もそんな気がしてきた。



「……俺としては、カティアを危険な地に向かわせたいとは思わないけどな。だが……もしそこに行くのであれば、必ず俺も一緒に行く。何があっても護りぬく」


「テオ……」


 彼の決意を聞いて私は嬉しくなり、彼の手をギュッと握った。



「ふふ……お熱いわね。まぁ、きっと大丈夫よ。この世界は紛れもなく現実で、ゲームの世界なんかじゃないと思うけど……でも、仮にゲームと同じだって言うのなら、クリアできるって事でしょ?じゃなかったら『クソゲー』だもの」


「あはは……そうですね」



 まだ黒神教の『七天禍』も残ってるし、おそらく魔王も控えている。

 そう考えると、鬼難易度には違いないかもしれないけど……クリアする手立てはあるって信じたいね。














「では、私達は失礼します」


「色々とありがとうございました」


「じゃあね、リュート。またね」


 長かった話も終わって、私達はその場を辞す事に。



「出来れば私ももっと力になれれば良いのだけど……生憎と私はここから離れられないからね」


「いえ、心遣い感謝しますが……もうあなたは十分なものを遺してくれました」


「そうか。そう言ってもらえると甲斐があったな。では、君達の武運長久をここから祈っているよ」


「はい、ありがとうございます!」




 こうして私達はリュートと別れた。


 直ぐにアスティカントへ向かうのか、それとも……

 とにかく、ここで得た情報は皆に共有して相談しなければ。

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