第十一幕 64 『試練を超えて』
全てを飲み込む光の奔流、破壊の力が押し寄せる!!
先ずは一番外側の……私が張った[界絶]に直撃!
カイトの
バチバチバチィッ、とスパークしながら光と拮抗するが……
それもほんの一瞬のうちに限界が訪れて、バリィンッ!!と音を立てて割れてしまった!!
「あぁっ!?」
結界はそれほど得意じゃないとは言え、もう少し耐えて欲しかった……
続いてリーゼさんの[守護聖壁]が受け止める!
かつてレティも使っていた上級結界魔法だ。
物理攻撃にも、魔法攻撃にも高い防御力を発揮する万能結界は、能力の底上げもあって城塞の如き堅牢さを発揮しているはず。
しかしそれも、私の結界よりも長い時間を耐えるが徐々に亀裂が入り……パリィンッ!と割れてしまった!!
「うそっ!?私の全力の結界がこんな短時間で……」
結界が2枚割れてしまったが、光の奔流はまだ続いている……!!
凌ぎきれるか!?
最後はミーティアの……[大聖封神]?
聞いたことない魔法……おそらくは神代魔法か?
少女モードの彼女は、私達の知らない魔法を幾つも使えるみたいだが、これもその一つなんだろう。
光に拮抗……いや、単純に止めるのではなく、受け止めたエネルギーを減衰・消失させているように見える。
[輪転回帰]と似たような感じだ。
「おおっ!!いけるッス!!」
フラグ禁止ィっ!!
だが、私の内心の焦りは杞憂に終わる。
光の奔流は少しづつ弱まっていき、やがて終息を迎えるのだった。
「ふぅ……どう?ミロン。何とか凌ぎきったよ!……アレ?」
先程まで超強力な攻撃を行っていた圧倒的な存在感を持つはずの
いや……よく見ると元の妖精の姿に戻ったミロンが、地面に横たわっていた。
「ミロン!?」
私は慌てて駆け寄って彼女の様子を伺うが……
「きゅう……」
どうやら、力を使い果たして目を回してるだけのようだった。
「はぁ……何とも締まらないけど。これでクリアかな?」
「だな」
「強かったんだか弱かったんだか……」
「まぁ、中身が残念で助かったッス」
そして、暫らくするとミロンは目を覚ます。
「……はっ!?」
キョロキョロと周りを見回して、私達が囲んでるのを認識するとダラダラと汗を流しながら言う。
「よ、よくぞ私の超必殺のマ○ンテを耐えきりました!」
メ○フレアじゃなかったんかい。
「見事あなた達は試練を突破しました。流石は勇者たち!!素晴らしい!ヨイショッ!!」
「……いや、もうボコらないから心配しなくて良いよ」
まぁ、戦ってるときは「絶対ボコボコにしてやるぅっ!!」なんて思ってたけどさ。
これもダンジョンの試練の一つだったと思えば、別に腹が立つものでもない。
それは他の皆も同じだろう。
「おお、やはりマスターはお優しい!!そうです、私は悪くありません!!全てリュート様が仕込んだことなんです!!」
う〜ん……いっそ清々しいまでの責任転嫁ぶり。
実際その通りだと思うけど、そーゆーことは言わない方が同情してもらえると思うよ?
「まぁ
そう彼女が言うと、次階層へと続くと思われる光の渦が現れた。
「……そだね。じゃあ、気を取り直して……いよいよ次が最後の階層ってことだね」
「ごーっ!!」
「思いがけずこんなところまで来たが……ついにだな」
「大詰めですわね」
「ふふ……次も楽しみです」
「早く帰らないと、地上は大騒ぎになってるかも……」
ついに王都ダンジョンの最終階層だ。
果たして賢者リュートは私達に何を遺したのか?
ついにそれが明かされるときがやって来る。
そして私達は、最後の攻略に臨むべく光の渦へと飛び込んでいくのであった。
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