第十一幕 63 『破滅の光』
『例え上空のアドバンテージが無くとも……まだまだこれからですよ!!』
翼にダメージを負ったミロンは地上に降り立ち、そう宣言する。
上空に居たときはサイズ感が分かりにくかったが、こうして目前にしてみるとその巨体が際立つ。
ゼアルさんの竜形態と同じくらいの大きさだろうか。
力強い四肢で地を踏みしめるその様は生命力に満ち溢れ、強烈な存在感で私達を圧倒する。
見た目だけでは、とても正体があの
『……今、なんか失礼な事考えませんでした?』
「いいえ?」
結構鋭い。
さて、ミロンが言う通り戦いはこれからが本番だろう。
彼女の光のブレスはある程度防ぐ手立てがあるのは先の攻防で実証されたが、空気の層への侵入角度によっては直進してくるかもしれないし、近接戦になれば更にそのリスクは高まるだろう。
そして竜種であるからには、その防御を貫いてダメージを与えるのは物理・魔法ともに困難を極める。
これまでもそうだったけど、各々が自身の持つ最大の力を振り絞って戦わねばなるまい。
当然に私とカイトは
「さあ、ここからは力と力のぶつかり合いだよ!」
先ずは切り込み隊長のルシェーラが飛び出す。
相変わらず光線による攻撃が襲い来るが……その殆どは、今も効果継続中の風壁によって逸れていき、突破してきたものは回避しながら突っ込んでいく。
「先ずは一太刀ですわ!!せやぁーーーっっっ!!」
最後の一歩で大きく振りかぶったハルバードを竜の脇腹目掛けて薙ぎ払う!!
どすっ!!
「くっ!?硬いっ!!」
しかしハルバードの斧の部分が、鈍い音を立てて僅かに食い込む程度の傷しか与えられない!!
あの渾身の一振りであの程度……何という防御力か!!
だが……
『ぎゃーーす!?いったぁーーーーぁいっっ!!!』
……めっちゃ効いてる。
って言うか、痛みに耐性無さすぎでしょ……
だが、痛みで滅茶苦茶に暴れまわる巨体に危険を感じて、追撃しようとしていた私とカイトは足を止めざるを得なかった。
「ちょっと、ミロン!!あなたこの階層のボスなんでしょう!?シャキッとしなさい!!シャキッと!!」
『うぅ……しょうがないじゃないですか。私、戦闘苦手ですし……しかも痛覚そのままなんて聞いてないですぅ……』
情けない声でそんなことを曰う。
「さっきまでノリノリだったんだから、戦闘苦手とか今更言わないの!!」
私達がイジメてるみたいじゃないか!!
『なんかも〜、痛いのヤダ……これから私の超必殺技を放ちます!!それを凌げばあなた達の勝ちと認めましょう!!』
仕事が雑っ!!?
「こら!真面目にやりなさい!!」
『いいんですよ。どーせリュート様のどーでもいいこだわりに付き合わされてるだけだし〜』
「投げやりになってきたな」
「色々とぶち壊しですね〜」
『という事で、私の超必殺技でちゃっちゃと終わりにしますよ!!見事凌いでみせるが良い!!』
やっつけ感がハンパない。
最後のセリフだけそれっぽく取り繕っても……
だが、ミロンのゆる〜い感じのセリフとは裏腹に、ビリビリと空気を震わせるほどの凄まじいまでのエネルギーが集まっていくのはハッタリではないだろう。
だが、今なら……!!
「悪いけど、わざわざそれを待ってやるほどお人好しじゃないよ!!」
大技を使うために力を溜めて足が止まったのは絶好のチャンスだ!!
私は瞬時に間合いを詰めて、青い破壊の光を帯びた
バチィッ!!
「んなっ!?」
渾身の一撃は
そして……!
「[滅雷]!!」
「[灼渦]!!」
バシュッ!!バシュンッ!!
ミーティアの雷撃も、リーゼさんの炎も掻き消されてしまった。
『ふふふっ!!無駄ですよ!こうなったからには、我が必殺の『メガフ○ア』が発動するのを止めることは不可能です!!』
メガ○レアって!!
リュートの仕込みかい!!
『5……!』
カウントダウン始めた!?
『4……!』
マズい……流石にアレは防げる気がしない!
かと言って何処かに回避出来そうな場所は……
「カティア!ミーティア!リーゼ!!俺のところに集まれ!!一番強力な結界を重ねるんだ!!皆も俺たちの後ろに!!」
カイトの言葉に、深く考える間もなく従って私達は彼の元に集まる!!
そして、カイトの
『3……!』
もう時間がない!!
私は即座に結界魔法を構築し始める。
『2……!』
あともう少し……!
間に合え!!
『1……!』
よしっ!!
発動!!!
『ゼロっ!!』
「[界絶]!!」
「[守護聖壁]!!」
「[大聖封神]!!」
これ以上は無いほどに強固な三重の結界が私達の前に築かれる!!
そして、それと同時に……!!
グオォーーーーッッ!!
そして私達の視界は真っ白に染まるのだった……!!
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