第九幕 23 『野外実習』
入学してから、はや数週間の時が過ぎた。
もうすっかり学園での生活にも慣れて、クラスメイトたちもかなり仲良くなったと思う。
私達はそれぞれが正式にクラブにも入ったりして、充実した毎日を過ごしている。
因みに私は合唱クラブに入ったよ。
そんなある日のホームルームにて。
「さて、いよいよ来週から…お前たちにとっては初めてのイベントである野外実習が始まるわけだが…」
スレイン先生が今言った野外実習と言うのは、集団行動を学ぶ目的で文字通り野外活動…まあ、キャンプだね。
だが、前世のレジャーキャンプのようなものではなく、もっと実践的な…サバイバルと言ったほうが良かったかも。
食料も現地調達だったりして、貴族の子息令嬢にはなかなかハードなのではないだろうか?
私は…実は【私】よりも【俺】の方がサバイバル経験があったりする。
流派の修行とかで。
「……つまり、これからお前たちに班分けをしてもらいたいと言う事だ。と言う訳で、ここからはクラス長と副クラス長に仕切りを頼むわ」
ありゃ、出番か…
ユーグと二人で教室の前に出て場を仕切ることに。
「え〜と、じゃあどうやって決めようか?」
「ああ、因みに一班3〜5人位な。1クラス10班作って、2組と合同になるぞ」
先生から補足が入る。
1・2組の第1班同士で組んで、合同第1班になると言う事らしい。
「ああ、それから…必ず男女混合になるようにな」
ありゃ…それだと、仲良し同士で集まったら男女で別れちゃいそうだね。
かく言う私も、いつものメンバーで集まろうかと思ってたけど、それだと女子だけで人数いっぱいになっちゃう。
「う〜ん…仲良し同士だと偏っちゃうよねぇ…」
「ですね。ここはくじ引きとか…ですかね」
まあ、それが無難かな…
「じゃあ…1〜10の番号を書いたくじを作って皆に引いてもらおうか。男女別に作ればちょうど半々ずつになるでしょ」
ということで、手分けしてくじを作成。
「は〜い、じゃあ女子はこっちのくじを引いてね〜」
ユーグが男子のくじ、私が女子のくじを持って皆に引いてもらう。
「よし、皆引いたな?では、そっちから順番に1班、2班……そこが10班。各人くじの番号の班のところに移動してくれ」
ユーグの指示によって、皆がくじの番号のところに移動する。
ユーグと私はそれぞれ最後に残ったくじの番号だ。
私は…3班か。
その場所に向かうと、そこにいたのは…
「あ、ステラも3班?」
「ええ、カティアが一緒なのは嬉しいわ」
「ふふ、私もだよ。よろしくね。で、男子は…ユーグも3だったの?」
「はい。奇遇ですね」
「うん、よろしくね。それで、もう一人は…」
げ。
こいつは…セクハラ
よりによってコイツか…
…まあ、いい機会だから実習ではしっかりシメておくか。
でも、コイツ…お調子者だけど入試の成績では十指に入ってるらしいんだよね。
バカだけど。
しかも、イスパルの有力貴族であるユスティア伯爵家の嫡男なんだって。
バカだけど。
お父上には会議とかでいつもお世話になってるのだが……
「いよっしゃあーーーっ!!!オレ、クジ運最強っ!!」
何であんなに落ち着いたナイスガイの息子がこんなにチャラくなるの…?
頭も家柄も…ついでに、まぁ顔も悪くないのに……残念だね。
「くっ…!よりによってアイツがカティアさんと同じ班だと…!?」
「しかも、ステラさんまで一緒なんて…羨ましい…」
「ふははは!これも日頃の行いの賜物よ!」
「何気に
あんたら、程々にしとかないと後が怖いよ?
レティ、ルシェーラ、シフィルはバラけちゃったね。
あ、彼女達と一緒の班になった男どもは地味にガッツポーズしてたよ。
「よし、決まったみたいだな。それじゃあ、それぞれの班ごとに実習の計画を立てておくようにな」
計画というのは、今回の野外実習と言うのはオリエンテーリングの要素もあって、出発地から宿営地となる場所まで、地図などを頼りに進むことになるので、その計画を立てる必要がある…と言う事だ。
で、出発地は班ごとに別々で、ちょっと競争みたいな要素もあったりして…なかなか面白そうである。
取り敢えずホームルームが終わってから、班のメンバーで集まって話をすることに。
その際、2組の第3班にも声をかけて一緒に計画を練る必要があるだろう。
早速2組に行って確認しようとすると…
「オレっちが聞いてきますよ!お任せください!」
と、フリードが率先して確認しに行ってくれた。
いい心がけだけど…残念ながら、それでキミのポイントが上がることはないよ。
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