光の陰で狐が笑う

Ikaten

第一審 大川慎之介

10年前、家族は皆、幸せそうに暮らしていた。

彼らは一言で言えば、理想の家族。

しかし、その幸せはあることで全てが壊れた。

そう、あの一瞬によって…

「お父さん!!お母さん!!咲楽!!3人とも

しっかりしてよ!!ねぇ!!もう救急車が来るから!!それまで頑張ってよ!!ねぇってば!!」


川嶋一家殺害事件

家族3人は家に侵入した不審者に殺された。

犯人は刃物で3人を滅多刺しにした。

別の部屋で寝ていた、川嶋結衣は奇跡的に

犯人に見つからずに、やり過ごすことが出来た。

その後、3人の意識が戻ることはなかった。


川嶋 紀之 43歳

川嶋 美夜 40歳

川嶋 咲楽 13歳

死去


あれから10年、警察で異例の速さで刑事まで

上り詰めた人物がいた。


「美山 結衣。おめでとう。」

所長である中島 聡から昇進状を渡された。


「今日から配属されました。美山結衣と

いいます。」


結衣っは警視庁に着くと、配属される

課の課長の篠原に向かって挨拶をした。

「君が美山くんか。よろしくね。

そうだな、君はあいつのバディとして

頑張って貰おうかな、」

篠原はそういいながら会議室の方へ指さした。

「橋本!!今日から配属の子が、お前の新しい

バディだ。しっかり挨拶しとけよ。」

巡査の橋本は眠たそうな目をこすり

結衣の方をみた。

「こいつですか?いかにも警察じゃいなそうな

顔してますけど、こんなやつが俺のバディです

か?」

結衣は永遠に文句ばかり言っている橋本に

腹を立てた。

「そんなこと言いますけど、あなたも

私から見ればゴリラみたいな、脳筋のようにしか見えないんですが。」

二人の印象は最悪だった。来てそうそう

文句を言うもの、そしてそれに反抗するもの。

誰から見ても相性の悪さは一目瞭然だった。


「とりあえず、二人にはある事件の捜査班に

配属になってもらう。ココ最近、指名手配犯

だった奴らが何者かに殺されている映像が

SNSなどで拡散されているらしくてな。

第一被害者が大木まさし、こいつは、5年前

から指名手配で正体をくらましていたんだが、

つい最近、狐という謎の仮面を被った人物に

よって殺され、その様子がインターネット上で

拡散された。我々としては、法の元で行われない、罰は実刑にしないといけない。他に

例がでないように狐のアカウントを特定し、

逮捕するんだ。」

篠原は深いため息をついた。

「これは警察の死後だっつぅのに・・・

手間ばっか増やせやがってよ。

じゃあ新人。とりあえず事件現場行くか。」

篠原はそう言うと、コートを羽織り、

エレベーターの方へ向かった。

「なんでこんなやつとバディなんだよ。」

結衣は小さくつぶやいた。


その夜

結衣は山奥にある小さな小屋の中に入った。

「大川慎之介さん。こんばんは。

お目覚めですか?」結は大川に向かって

優しく声をかけた。

「てめえは誰なんだよ。いきなり椅子に

俺を縛り付けて・・・お嬢ちゃん。悪ふざけなら

今のうちにやめといた方がいいぞ。俺には

何人もこぶ・・・っ!!」

結衣は喋っている大川の目の前にサバイバルナイフを突きつけた。

「あんた、口の利き方気をつけたほうがいいよ。

あんたの命はわたしの支柱の中なんだからさ。」

結衣は笑顔でそう返した。

「なにが目的だ?金か?財産か?」

大川がそういうと、結衣は鼻で笑った。

「別にあなたの財産なんかに興味はないよ。

ただ、罪を犯した人間には制裁を加えないとね。

私はあんたみたいなゴミの最下層のような

人間が大嫌いなの。だからさ、死んでよ。」

結衣は不敵な笑みをした。

「馬鹿か?おまえ。警察の人間だろ。

そんな奴がこんなことして許されるとでも・・・っ!」

大川が話している最中に結衣は大川が

座らせられている椅子を蹴りあげた。」

「おじさん、話長いよぉ。

最近、ニュースになってるよね。

指名手配中の犯人達が次々と殺されてるって。

狐・・・」

結衣はカバンの中からお面を取り出した。

「狐、これが、本当の私。さぁあなたには

今から死んでもらおうかな。あ!!配信の

準備しないといけないんだった。」


「何で殺されたい?撲殺?射殺、刺殺?」

結衣はスマホを取り出し、椅子の影響で

倒れている、大川をカメラで撮った。

「ねぇ大川さん。笑ってよ。せっかく、

今日が一番輝ける日なのに、全然嬉しそうじゃ

無さそうだね。」

大川は下から鼻で笑うように話した。

「あんたすげぇ美人なのに、やってることは

悪魔みてぇだな。」


ドゴッ!!


結衣は振り向いて、大川の腹を思い切り蹴った。

「黙れ。余計なこと言うなって言ったよな?

別に今、あんたをここで殴り殺しにしても

いいんだよ?・・・あ、そんなこと言ってる間に

配信始まっちゃうよ。」

結衣は急いで黒のパーカーとスウェットを

履いた。



「皆さんこんばんは。狐のお裁きタイム

の時間がやってきました。今回のゲストは

この方!!大川慎之介さんです!!」

狐はボイスチェンジャーを使い話した。

「大川さんは、御年寄からお金を騙し取った

上に、人殺しまでしちゃったみたい。大変。

これは私刑だね。」

狐がそう言うと、大きなキャリーバックの

中から大量の金を、大川の上に落とした。

「お金が大好きな、大川さんには、

お金と一緒に燃えて貰おうかな?」

狐はそういうと大川と金に向かって

灯油をかけた。

「それじゃあ大川さんさようなら~」

狐はマッチを付けると、大川の方へ向かって

火のついたマッチを投げつけた。


「熱い!!ぅ熱いっ・・・!!誰か助け・・・」

配信はここで終了した。



次の日

「昨夜未明、大川慎之介さん59歳が

山奥の小屋で全身火傷の状態で発見され、

死亡が確認されました。この件も、例の狐が

関係しているとみて捜査を行う予定です。」


結衣は朝食を食べながらボーっと眺めた。

「あ~あ、大川さん、あっけなかったな。」

結衣はそう呟くとテレビを消した。


警視庁


「どうなってるんだ!!」

課長である篠原が机を叩いて怒鳴った。

「また、狐が、犯行を行ったか・・

これじゃ警察組織の存続に関わる。

これ以上、やつの好きにさせるな!!」

篠原は明らかに機嫌が悪そうだった。


結衣は橋本と現場に向かう最中車二人になった。

「新人。お前から見て、今の警察はどう見える?

」後ろの席にいる橋本は、運転席の結衣に

答えを求めた。


「分かりません、だけど、・・・」

結衣は橋本の方を振り返った。


「今の警察組織が腐敗していることは、

確かです。」

結衣は橋本に、真剣な眼差しで答えた。



第一審 大川 慎之介

第2審は7月3日公開



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