第8話:ナビゲーションシステム

 



〈伏せ字にするなら、フ○ックもだろ〉

 ナビからツッコミがきた。

 てか、ナビの姿は?脳内に声だけって淋しいな。

「ヨッシー様、その肩の上の球体は何ですか?」

 魔法省トップ……名前聞いたけど、長くて難しくて覚えられなかったんだよなぁ。

 長~い名前はエルフだかららしい。

 魔法長で良いか。


 その魔法長の声に右を向き、何も無いのを確認し、左を向く。

 やはり何も無い。

「えぇと、右に緑と白の球体、左に青と白の球体が浮いてます」

 先生にも球体が見えているらしい。


〈ナビが見えないって、まさしくヨシ○コじゃん!3D眼鏡いる?〉

 ギャハハハ笑う声が聞こえる。

 勇者ヨシ○コでは、主人公のヨ○ヒコだけがほとけの姿が見えなくて、出て来るとメ○ブに3D眼鏡を渡されて掛けていた。

 態度?と口調にはムカつくが、いきなり飛ばされた異世界で、知っている情報を共有出来る存在はちょっと嬉しかった。

 ムカつくけどな!

 大事な事なので、二度言ったぞ!


〈ガイア、いい加減にしなさい。ヨッシー様、私共ワタクシどもはナビゲーションシステムです。アチラの傍若無人なのが地球の情報を提供するガイア。私がこの世界の情報を提供するアートモでございます〉

 アートモと名乗ったナビは、先程の融通の利かないあの声の主だった。




 肩上の球体は、先生の説明を聞く限り、青白は地球のようだ。

 名前も地球ガイアだしな。

 という事は、緑白はこの世界の姿なのだろう。

 アートモと言う惑星なのか、世界なのか。


〈ヨッシー様の使われるスキルのマッピングやサーチなどは、私では理解出来ない物になりますので、ガイアが説明する事になります。後は、こちらの食べ物を地球の物に例えるとかは、私では無理ですので〉


 何だか思ったより至れり尽くせりだな。

〈使用魔力が少なかったのに、こんな無駄に機能を盛りに盛ったりするから、召喚するのに500年も掛かるのです〉

 あ~そうだったのか~。

 俺的には有り難いけど、アートモは活躍の場がほぼ無いよね。

 本来、魔王戦とかで助言してくれたりしたのかなぁ。有効な攻撃手段とかさ。



 魔法とかを取得した時に頭に呪文が浮かぶのは、アートモシステム。

 その呪文が「チョイヒ」とか「ファイア」なのはガイアシステムだそうだ。

 他の人には、この世界の言語に聞こえているらしい。

 そうだよな。「チョイヒ」って、おかしいよな。

〈この世界の言語で、同じ意味ですが何か?〉

 アートモに地味にキレられた。



「えっと、こっちがアートモでこっちがガイアです」

 左肩側をアートモ、右肩側をガイアとして先生と魔法長に紹介する。

〈逆です〉

 アートモの冷たい声がする。

「え?」

〈左右逆です〉

 見えないから、しょうが無いだろ?

 怒るなよ。


「すみません、逆でした。青白がガイアで緑白がアートモです」

 色を付け加えれば間違い無いだろう。

 因みに左右逆だったのは、先生が俺から見た左右を言ってくれたのに、俺が先生から見た左右だと思ったからだった。

 見えてれば問題無かったんだけどね!



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