第6話:属性調べたら、凄い事になった




「この水晶に触れると、適性のある物が光ります。ちょっと準備しますからお待ちくださいね」

 小さな水晶がズラズラズラーと並んでいる。

 大きな水晶の中が適性色に光るパターンと、水晶が複数あるパターンが判定の主流だったよな。

 教会とか神殿で鑑定されるパターンもあったなぁ。こちらは、鑑定された主人公が適性無しか不遇と言われる適性で、実家を追い出されたら実はチートだったってのがテンプレだ。


 そういえばまだ完結して無い漫画の続きって、どうにか読めないのかなぁ。

 タブレットとか持って来れたら、アプリをダウンロードして見られたり……しないか。

 なんてウダウダと考えていたら、準備が出来たと呼ばれた。



「では、こちらに順番に触れて、魔力を込めてください」

 魔法省のトップだと紹介された人がにこやかに言ってくる。

 魔力を込めると言われても、よく解らないんだけど?

 生まれた時から魔力のある世界にいるから、魔力を込めるが解らないとは思わないんだろうなぁ。

 とりあえず触ってみるか。


 ピカッ赤。ピカッ青。ピカッ水色。ピカッ茶色。ピカッ緑。ピカッ黄色。ピカッ紫。ピカッ白ってか眩しいな。スゥッうお!真っ黒に染った!

 玉の前に属性が書いてあった。

 赤=火。青=水。水色=風。茶色=地。緑=植物。黄色=雷。紫=毒。白=聖。黒=闇。

「運営さん、魔法に力入れた……って、VRMMOじゃなかった!」

 魔法の種類が多くて、ついの事を考えたが現実だったな。



 ん?何か、皆が変な顔になってるな。

 埴輪顔っていうのか?目も口もポカーンって開いてる。

「全属性持ち……」

「しかも全部最高の輝き」

 何が言いたいのか解らないが、どうやら俺は規格外のようだ。


<あ~何か大変なヤツが来たみたいだね>

 どこかから声がする。

 キョロキョロと周りを見回すが、目の前の二人以外に人は居ない。

 ん?テーブルの上に鼠。

 ちょっと大きなハムスター?まぁ鼠でいいか。

 帽子を被って、背中に筒を背負しょっていて、筒の中に丸めた紙が入っている。


 チョチョチョとテーブルの上を走った鼠は、呆ける二人の前でお辞儀をした。

 しかし水晶を見つめる埴輪な二人は気付かない。

<おい!早く取れよ!この体勢も疲れんだよ!>

 鼠が怒っている。

 お辞儀ではなく、背中の手紙を差し出したようだ。


「あの、鼠が手紙を取れって可愛く怒ってますよ?」

 水晶を見ていた二人と、手紙を配達していたらしい鼠に見つめられた。

 鼠に至っては、バッと振り返ってこちらを見た。

 ヤバイ。可愛い。


「動物の言葉が理解できてる。獣魔術師テイマーの適性もあるのか」

「動物テイマーなのか、モンスターもいけるのか……今までの事を考えると、モンスターどころか神獣や聖獣もいけそうだ」

 テイマー!動物好きにはたまらない職業だ!

 小さい頃には、俺も犬を飼っていた。

 サモエドとハスキーだ。

 どちらも大型犬だったが、庭が広かったので飼えたんだよな。


 俺の実家は金持ちだった。

 小さい頃から忙しい両親に放置され、その代わりに犬が居たのだと大人になってから理解した。

 シロとラッキー。

 テンプレ通りなら、二匹もこっちの世界に転生していたり……さすがに無理か。

 俺が高校生の頃に二匹共死んじゃったからな。



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