第5話:この世界の魔法




「今日は、魔法について勉強しましょうか」

 キタキタキター!

 魔法!

 異世界テンプレキター!!

 想像力がモノをいうってヤツでしょ?

 任せて!

 異世界転生、異世界転移系の漫画はよく読んでたから!


「魔法は、魔法を使う為の魔力の量で効果が変わります」

 魔力の……量?

「ある日突然、魔力量に合った魔法が使えるようになります」

 ち、ちょっと想像とは違ったけど、ハイハイ。


「『生活の火チョイヒ』」

 先生の指先から、ライターの火のようなのが出た。

「これが火属性の最小の火です」

 よくある生活魔法ってのかな。

 誰でも使えるとかの、役に立たないと言われつつ、実は凄く役立つ魔法。



「魔法を使っているうちに魔力量が増えるのです。そしてある日突然、フッと頭に使える魔法がひらめくのです」

 あれか?頭の中にファンファーレが鳴ってレベルアップ!みたいな?

 勇者ヨシ○コのメ○ブが「突然だが、新しい呪文を覚えた」とか言ってた、アレか?アレなのか?


「『小さな炎スモファイ』」

 さっきよりも少し大きな火になった。

「室内で出せるのはこの位が限度ですね」

 炎がフッと消えた。

「その程度だと、詠唱が要らないんですね」

「えいしょう?えいしょうとは?」

 え?

「え~と、魔法の威力を上げるのに『火の精霊よ契約者なる我と共に~』みたいな?」


「元の世界では、魔法を使うのにえいしょう?が必要だったのですね」

 優しく微笑まれてしまった。

 えぇぇぇ~詠唱短縮とか、詠唱省略とか、そういうチート発動して「凄い!」って感心されるのは無いのか~。


 魔法に関しては、俺のチート能力はないとみた。

 魔法名を言うだけって、まさしくメ○ブの魔法だよね。

 いや、元を辿るとドラ○エ?FFは詠唱時間があったよな、たしか。


 あ、そうだ。

「俺の元いた世界に魔法はありません。知識としては、二次元の世界です」

「にじげん?虹の世界ですか?」

「え~と、本の中の想像で書かれた作り物の世界ですね」

 本当は本の中だけじゃ無いけど、webとか言っても通じないよな。

「物語の事を虹の世界と言うのですね。随分と素敵な表現ですね」

 もう、訂正する気力が湧かなかった。

 想像の世界=虹の世界、良いじゃないか。うん。




 魔法の適性検査を受けに、魔法省という所に来た。

「魔法適性は万人が持っているのですが、魔法使いになれるほどの魔力量を持っている人は、半分くらいですね」

 思ったよりも多い印象だ。

「そこから魔法使いになる人は、更に減ります。平民なんて特に、実家の家業を手伝ったり、継いだりしますからね」


たまに地方では、農家の人がグリフォン倒したけど、どうしたら良い?って問い合わせがあったりするらしいよ」

 カラカラと笑ってるけど、グリフォンって頭が鷲で体が獅子のモンスターだよね?

 そんなのが居るのも驚きだけど、農夫が倒しちゃうの!?

「最近あったのは、農家の嫁が倒しちゃって、横暴なくらいの亭主関白だったのに、今では立場逆転したって笑い話になってたね」

 農夫じゃなくて、農婦でした。


 嬶天下かかあでんかの方が夫婦は上手くいくって昔から言うし、まぁ、平和なのかな?

 グリフォンがスルーなのが、ちょっと気になったけどね。



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