第4話「あ~~~あ、やべい!!」
「ふんぬッ!!!!」
目が覚めたと同時にベットから勢いよく出る。
初めのスタートが肝心だからだ。
「いまは何時だ!!」
そのまま時計をすかさず確認。
現在は午前四時
よぉし!!!早起き偉い!!何で偉いのかわからないけど偉い!!
そのままストレッチをして、滅多に入らないシャワーを浴びた後、一人では広すぎるリビングに行きコーヒーを飲む。
朝からのリラックスは大事だからな!!
入念な自分に対しての心の準備みたいな事をした後は、今日の予定を立てる。
まずは花音に話を聞かないと事が進まない。
もしかしたら、億が一にも見間違いとか勘違いとかあるかもしれないし。
今日の放課後、取り合えず校門で待ち合わせてから自分の家に呼んで事情を聴こう。
周りにも聞かせていいものでもないし。
だからそれまでは怪しまれないようにしないといけない。
それで、もし本当に竜也と関係があった時は……いや、その時考えよう。今考えてもしょうがない。
昨日の内に負の感情を吐き出したおかげか、不思議と今は落ち着いている。取り合えず今は……
「お腹すいた!!昨日飲料ゼリーしか飲んでないし!!」
そう思ったついで、早起きした事もあり普段は抜くか途中のコンビニで買うかしかしていない久々の朝食を用意する事にした。
といっても簡単なもので、白米とみそ汁、野菜にバナナといったものを朝食として用意しただけだが。
それでも偉い!!俺用意できた!!偉い!!
朝からテンション壊れているなと自分でも自覚しているがそれでも一人でいるうちは無理矢理にでもテンションを上げていく。
ボルテージ上げていけぇ!!
といっても現在はまだ六時も過ぎていない。何もすることがなく。
「………勉強でもするか」
教科書を開き、今日の授業でやる範囲の予習をしておく。本当にどうかしちまっているぜ…へへっ。普段授業もまともに受けない俺がこんな優等生みたいな真似して。でも……
不思議と普段やらない事もやってみると案外楽しいもんだなと思ってしまった。
学校についた。
そういえば、昨日余裕なさ過ぎてスマホ見てなかったけど今朝確認してみても一昨日から花音からの連絡はなかった。
まぁ学校に行けば会えるしな。
そう思い、ホームルームが始まった後の休み時間に隣のクラスに行き、花音に会いに行く。
が、、、
どうやら花音は今日学校に来ていないらしい。ついでに竜也の席も確認したが、欠席みたいだ。
いやな予感がする。
そう思った瞬間、脳内で一瞬ピりっとした感覚がその予感を肯定するように伝わってきた。
ほんとに何なんだ…
大人しく自分の教室に戻り、自分の席に着く。
が、クラスメイトはほとんどいなかった。
ああ、次の授業移動だったっけ。
そう思い、教科書を取り出して移動する準備をする。
「……あの、大丈夫ですか?」
クラスメイト男が少し緊張した様子でこっちに話しかけてきた。
普段は読書とかイヤホンをつけて休み時間は音楽をしている様子だからあまり人と会話しているのを見たことがない。
ので、これには少し驚いた。
「…ん?何が?」
出来るだけ軽い口調で返事をする。
男は一拍おいたのち、緊張した面持ちで再度口を開く。
「いや、顔色が悪そうで体調がすぐれなさそうだったからつい。ごめん急に声かけて」
深刻な顔をして謝るもんだから、口が緩んで少し笑ってしまった。
「なんで、声かけたくらいで謝るの……そっか俺そんな酷い顔してたか…」
「うん」
「結構直球でいうのね(笑)」
こちらは少し茶化した様子で接してしまっているが相手は少し笑いながらも真面目な姿勢は崩さない。
「だって他人事じゃないような気がするから」
「?まぁ、とにかく心配してくれてありがとう。ちょっと心配事が出来ちゃったから…それで気が重かっただけなんだ…」
「……心配事って、もしかして天春さんのこと?」
図星を突かれて息が詰まってしまう。
「えっどうしてそう思ったの?…どうしてそこで……花音が出てくるの?」
動揺を隠しきれずに思わず聞いてしまう。幸いここには俺と、読書と音楽を嗜む男しかいない。
「………気のせいかなと思ってスルーしてたから、言うか迷ったんだけど実は学校に来るまでの道のりで天春さんらしき人が男の人と学校とは反対側の電車に乗ってどっか行こうとしてるのを見た気がしたんだ」
「えっ…」
「だから、今の君の状態を見てから気のせいだとしても伝えとくべきだと思って」
急な新情報に脳が混乱しそうになる。
昨日の今日だから気のせいという可能性は低い。
おまけに今日は二人とも欠席だった。
おそらく、いや限りなくそういう事なのだろう。
だから、
「悪い、今日先生に体調不良で欠席するって伝えといてくれ。」
俺は行かないといけない。
「………うん、わかった。それと、気を付けて」
「ありがとう……えっと、すまん名前は?俺は沢村啓介」
「如月 航きさらぎ わたる」
随分と時間が空いた今更過ぎる自己紹介を交わす。
互いに握手をした後、俺はすぐさま学校から出る。
手当たり次第に探してみる。連絡もさっきから掛けているが繋がらない。
もう探してから四時間近く経ってる。
「心当たりのある場所なんてないぞ………」
…もしかしたら本当に気のせいだったのかもしれない。
そんな事を考えていたら再び脳内でピリッとした感覚が起きた。
今は自分の体調に構っていられない、そう思い今一度まだ行ってない場所を探そうとする。
だけど、唐突に……一つの可能性として居場所が浮かび上がってしまった。
何か推理して結論付けたわけじゃない。こんなのただの勘だ。
だけど、そんなただの勘を頼りにして向かったのが。
「……………着いた」
春尾竜也という男の家だった。
ここに来たのはあいつが高校上がって一人暮らししてから遊びに来た時以来だったかもしれない。
ずっと花音と過ごしてたから竜也とは学校でしか話さなくなった。だからここに来たのも久しぶりだ。
一段一段と階段を上る足が重く感じる。気が重い……口の中が乾き始めてきた。
そうやって情けない事を思いながら、上るために足を動かす。
足が震える、全身が震えて手に力が入らない。
けど、
どうか勘が外れてほしいと願いながらも、足は止めなかった。
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