第4話 冴えた新策
俺はリタイアに対する直接的な対策は思い浮かばなかったが、ある程度キルする際に工夫したやり方をする必要があることに気付いた。
それらは状況によって使い分ける必要があるため、思考停止しないよう普段から注意する必要がある。
「爆弾で殺す際は三人まとめてか、時間と余裕を与えず一気に畳み込んでキルする必要がある。だから遠距離武器のプレイヤーが多かったり比較的敵の行動が遅くて火力が高い系だった場合はあまり向かない」
逆に言うと、爆殺は猛攻をしかけてくるが火力が低く慣れていれば死に辛い敵が出て来る場合は有効だ。
敵との乱戦で消耗したところで敵が隙を見せたとき、プレイヤーが回復するところを狙って爆弾設置即起爆を行えば、リタイアなどする余裕も与えず始末できる。
「敵に間接的にキルしてもらう場合は、自分が加担していることに気づかれないように振る舞う必要がある。そもそも動きが緩慢な敵は火力が高いので、二発も被弾させれば爆弾は必要ない」
あからさまに散弾を連射するのは、煽り性能は高いがキル成功率はリタイアによって幾分か下がってしまう。
そこで、例の挑発弾を他プレイヤー回避際に撃ち込み、タイミングを測り誤らせて被弾させるという工夫をする。
「そのためのスキルが、【射出速度「爆速」】だ」
これによって、自分が挑発弾を撃った時点を気付かさせず、回避した側があらかじめ撃たれてた挑発弾を考慮せずにタイミングを掴み間違えただけ、というような状況に持ち込ませるのだ。
だが、これらの方法は実力次第ではいつでも使えるのだが、いかんせん毎回やるには疲れすぎる。
そこで、俺は更に簡単で汎用性の高いキル方法を思いついた。
それが成功するかどうかは、これから実験する。
これからやる方法の問題点は、知ってる人間には100%効かないという点だが、これを実行してダメだったら上記のものを実行すればよいだけなので、かなり実行価値のある技だ。
「よし、潜るか」
この方法を実行するために装備を作っていたら、いつの間にかランクは9に。つまり、上級部屋に行くための認定クエストのお時間だ。
「よろしくお願いします、ご協力感謝です」
俺は集まってくれた
皆まだランク8か、成功しやすそうだ。
「それでは、ベルゼブブを討伐しに行きましょう」
この敵は初見なのだが、アスモデウスの専用ステージだった悪魔の城が流用されている。俺はベルゼブブのいるエリアに到着すると、まずは敵の観察を始める。
「ふむふむ、一発が重い系か」
ベルゼブブは特殊なブレスなどは使わないものの、その太い腕を振り下ろすだけで、その地点に地形凹みが発生する。
よし、それじゃあまずは挑発弾を撃ち込みますか。
「よいしょっと。……皆、なんか怒り状態っぽいから、攻撃と素早さが高くなってる! 気をつけろ! ん? 地形凹みの部分には腕を振り下ろさないな!」
全部デタラメ。地形凹みの部分に腕を振り下ろさないのは、そこにプレイヤーがいないからだ。
しかし、俺よりランクの低いプレイヤーは初見なのか、まんまと引っかかっている。
うーん、これだと少し最初の意図からはズレてるが、まあいいだろう。
俺の言葉を信じた他三人は思い切り腕にぶっ叩かれた。死亡こそしなかったものの、かなりのダメージを負っている。
「すまん、そこも攻撃はされるらしいな、悪かった」
さあ、ここが真価の発揮どころ。ショータイムだ。
「みんな、ここに回復ツボを置く! スキル【回復ツボ強化「大」】で回復量アップと防御アップがつくからぜひ来てくれ!」
これはもちろん本当のことだ。目的は当然回復させるためではない。
ターゲットの召集だ。
「おお助かる、頼む」
「ここなら少し離れてるから安全だね」
「よろしくお願いします」
「はいよ」
よいしょっと、という掛け声とともに俺は爆弾を設置、そして即起爆。そしてその場で超ジャンプ!
「【えいた】が戦闘不能になりました」
「【SOTA】が戦闘不能になりました」
「【キリン】が戦闘不能になりました。三人目のプレイヤーのダウンを確認しました。クエストに失敗しました。集会場へと帰還します」
よっしゃあああああ、作戦大成功!
回復を他人に委ねた者の末路。
「よし、これで俺も上級者だ。プレイヤーキルの腕だって上級者だぜ?」
すると、突然謎のファンファーレとともに、例のシステムボイスが。
「【裏切者】の熟練度が一定異常になりました。効果に全スキル表示非表示切り替え機能が付きました」
なんか熟練した。
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