終幕
裸。裸。裸。それ以外の感想が出てこないぐらい真っ裸の男性が立っていた。
裸以外にも注目してみるととても端正な顔立ちをしていて「ああ、モテるな」と言った感じであった。今現在は生まれたままの姿であるが。
未桜は年頃の女の子らしく「きゃっ。」と軽い悲鳴をあげもう一度目を覆い、結城さんはというとその体をまじまじと見ていた。
葵はというと、未桜の様子を見てニヤニヤしていた。だからキモいんだよこいつ。
呼んだ張本人はというと、顔を真っ赤にし、結城さん以上にじっくりと見ていた。
呼び出された先生(?)は意思を持っているようでゆっくりと自分の四肢を確認し、そして話し始めた。
「ここは。僕はあの日死んだはず。だがこうしてまた君と会えるとはね。文子さん。」
突然呼び出されたのに案外落ち着いているようだ。話し方に緊張が全く見られない。
そしてあの幽霊は文子さんというらしい。
ぼーっと召喚された先生を見ていると、先生は僕らに気付き
「おや、見たことがない顔ぶれだね。文子さんのご友人かな?」
と優しく尋ねてきた。
僕がそれに対し、答えようとすると横から
「いえ。違います。私たちは彼女が悪霊になりそうだったのでそれを止めに来ただけです。それと見苦しいのであなた服を着てもらっていいですか?」
と堂々と否定をし、さらに僕らが呆然として言えなかったことを言ってのけた。
そのまま続けて文子さんに、
「亡霊さん、呼んでとは言ったけどまさかこんな風に呼び出すと思わなかったわ。新手の嫌がらせ?だとしたら悪趣味すぎるわ。早く服をイメージして着させなさい。然もなくば燃やすわよ。」
と少し早口気味な強い口調で言い放った。少し怒っているのだろう。
それに気付き、文子さんは急いで念じた。念じるとまた先生が光に包まれ、服を来た状態で現れた。
先生は感嘆の声をあげ、自身の体をまじまじと見ていた。
そんな先生の様子を愛おしそうに見つめる文子さんに、結城さんがさらに追撃で
「服を着せたのなら、早く心残りないようにすべて終わらせなさい。」
と冷たく言い放った。そして文子さんが頷いた。そして口を開こうとした瞬間
「ダメだ!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます