憂鬱の間

起床後、暫く呆けていたが今日は月曜日だと気づき、時間を確認しそして肩を落とした。


(とにかく学校に向かおう。)


ここまで寝坊すると逆に落ち着きをもってしまうのは僕だけだろうか。ゆっくりと朝ご飯を食べ、シャワーを浴び、思考をすっきりさせ着替えて玄関に向かった。

玄関には何やら張り紙がされており、そこには


【焦らず普段通りを心がけて 母】


とあり、少し苦笑気味に家を出発した。


 学校に着くと、なにやら違和感が少しあった。なんだか学校がざわついているのだ。

時間的にもう授業中のはずなのだが、校内が少しざわめいているように感じたのだ。

だが、理由など考えてもわからないので自身の教室へと向かった。

遅刻をしたときどのように入るのがいいのだろうか。世の学生たちは何度も苦悩しただろう。焦って走って行き頑張ったで賞をもらう?素直に謝罪し誠意を見せる?

いや、正解はこうだろう。


ガラガラガラとドアを普段通り開け、普段通り自身の席へと向かい座る。これだけなのだ。

なにもかも自然に振る舞うことにより「え?僕間違えてないですよね?」という風に見せだれも何も言えなくなると言うド級の技なのだ。そのはずだった。僕は気付いていなかったのだ。今日の一限目は数学、数学を担当している教師は我が校の中でも一番厳しくそして人気のある海道 綾子(かいどう あやこ)先生だ。どんな小さな悪も見逃さず見つけすぐに取り締まってくる。これだけ言うとただ怖いだけなのだが、どんな生徒にも親身になりどんな小さな相談事も真剣に乗ってくれるため人望に溢れている。なにより美人で胸がでかい。そして珍しく学校で僕に話しかけてくる存在だ。

そんな先生の授業に遅刻。バレないなんてことはないのだ。


「おい、三本木。なに堂々と座ってんだ。こっちに来い。」


とにらみながら手招きしていた。

その手招きに引き寄せられるように先生の元へ向かった。

教卓のあたりについた頃、また違和感を感じた。違和感の正体に気づくまでそう時間はかからなかった。

だれも僕に注目していないのだ。

そもそも先生が前にいるというのに先生の方を向いているものもいない。

その視線は一カ所に向いているのだ。僕はクラスで起きているこの不可解な現象に目の前で話している海道先生の話よりも教務が沸いてしまいそちらに目を向けた。

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