????(まだ、その時ではない)

柄針

まだ、その時ではない

 ねぇ、聞こえるかな?

 これを読んでるキミに聞いてるのだけど……聞こえてる? 

 ううん、聞こえるって言い方は正しくないね。この言葉が見えてるかな?


 まぁ、キミがどんなジェスチャーをしても私には一切見えないし、キミがどんなに声をかけても私には聞こえない。


 ただ私の声が届いていれば、それでいい。

 私は、キッカケを与える事しか出来ないから。


 キミに……キミ達に声をかけたのはね、いずれ訪れる“その時”に立ち向かう為に準備をして貰いたかったから。


 キミは考えたことがあるかな?

 死後の世界がどんなものなのかを。


 真っ白な世界? 天国? 地獄?

 真っ暗な世界? 花畑で綺麗な世界?

 悲しい世界? 楽しい世界?

 それとも、そもそも存在しない?


 どんなものであれ、死後の世界は不確定で不明確な世界。つまり、存在しているか分からないだけじゃなくて、どんな世界かも分からない。蓋を開けないと中身が分からないのと同じように、死後の世界はどんな可能性も存在する場所。


 もしもを想像してみて。


 死後の世界と現実の世界が全く同じだったら?

 それほど現実の世界と差の無い世界だったら、望んでその世界に飛び込む事は出来る?


 一体どこに、死後の世界の方が“明るい”という確証があるの?


 肉体が消えても、魂が変わる事は決してない。

 魂を変えるのは世界では無くて、キミの気付き。

 気付きを得るには、§№€※が必要。


 初め、私たちの心はまるで綺麗な“コイン”のように透き通っていて、丸い形を描いていた。


 それが、いつの間にか角張った標識の様にルールに縛られて、綺麗な曲線を描いた丸い形では無くなってしまった。


 でもね。

 角張った部分も、優しく削れば丸くなるの。

 それは自分と向き合って、世界と向き合って、苦しいことかもしれない。自分で削るのは痛いことかもしれない。


 でも誰かと一緒なら、その痛みも少しは和らぐかもしれない。新たな気付きを得るかもしれない。





 私は、キミ達に顔を上げてもらいたいの。


 今これを読んでいる画面から顔を上げて窓の外を見て?


 空はどんな様子?

 晴天? それとも曇ってる? 雨かな?


 音を聞いて。

 風の音? 雨音? 草木の音?

 それとも、機械音とかかな?


 どんなものであれ、まだ世界には気付きがある。

 世界は死後の世界と同じで、蓋の閉じた箱。

 どんな可能性も存在する世界。

 蓋を開けて中身を隅々まで確認するその瞬間まで、どんな姿にもなれる。


 顔を上げれば、かおが日の光で照らされて白くなる。それが“面白い”ということ。


 世界の姿を決めるのはキミ自身。

 そしてキミが歩く道が光になって、誰かの道しるべになる。

 キミの歩く道が夢になって、誰かの光になる。

 キミをかつて導いた人も、そうだったように。


 キミが、誰かの心を丸く削る。





 いずれ“その時”が訪れるわ。

 失った魂達が“除霊”されるその時が。

 キミ達には、その“除霊”に負けないでほしいの。

 諦めた先が、決して“明るい”とは限らない。


 その№§£を手放さないで。

 それは君の道しるべとなり力となる。


 ※№£に殺された全ての℃¿®‰へ――。


















 ところで、私が誰かって?

 う〜ん……どう説明したらいいかな……。















 ヒミツ! だけど……。

 あえて言うなら……。


















 オバケ……かな!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

????(まだ、その時ではない) 柄針 @tukahari

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ