第4話 婚約破棄してくれないの⁉

 夕方になりました。

 アリンと共に皇宮に遊びに行く用意ができました。

 まぁ、遊びに行くわけではないんだけど……。


 皇宮に行くための準備で2時間もかかるもんなの?

 よくわかんないけども、あのバカ皇太子に会うために毎回こんなことしてたんなら、大変でしょ。

 もうこんなことしなくてもいいように穏便に婚約破棄を通告してくるのだ。


 今は腰ほどまであるラベンター色の髪をポニーテールにしてサマーシャワー色のドレスというかワンピースを着ている。着替えるのはそれほど時間はかからないけど、髪のセットとメイクが恐ろしいくらい時間食うのよ。


 とか考えてながら歩いていたら

「ガレナ様、お待ちしておりました。」

 という声が聞こえた言ったのは皇宮の執事さん。

 白髪に黒メガネ、それにあの特徴的な服装。完璧だね。

 それに確か、この人もゲームに出てきてたな?あの皇太子専属の執事さんだったはず。私で言うアリンみたいなもんだね。


 えーと、確かジェイソン・ステイサムさん……だったっけ?

 この人もガレナと同じくヒロインが出てきたら早々に死んじゃうキャラだったはずなんだよなぁ……。

 皇太子ルートだとガレナはエンディング近くまで生きれるけど最終的には殺される。対してジェイソンさんは婚約者を置いておいてヒロインと仲良くしているのを非難した結果それを気に食わなかった彼に処刑されてしまう役だったはず、しかもだいぶ序盤で。それで、ガレナからの信用度も下がってイク……のか?

 まぁ、それはひとまず置いておこうかな。


 実は侯爵家と皇宮って大規模な庭園を挟んで隣同士なのよね。

 だから、馬車とかなくても行けるんだよ。

 正門は反対方面だから、馬車必要だけど。

 皇宮は三階建てで一番上の階は、皇帝と皇后の部屋があるとか。

 それで、二階には王子たちの部屋がある。


 コンコンー

 二階のうちで一際豪華な扉をジェイソンが叩いた。

「セイテン様、ガレナ嬢がお越しです」

「通せ。」と若い声だが威厳と圧が感じられる声が扉の向こうから返ってきた。

 アリンとジェイソンを部屋の外で待たせ、私一人で悪魔の部屋へと入る。


 目の前には、薄いピンク色の髪を持った美青年が……

「こんにちわ。セイテン様」ワンピースの端をつまみまさしくご令嬢?という感じの挨拶をしてみたり?どうせ興味もないはずだけどね?

「う…む。」なんか顔赤くなってる?

 まぁ、こんな奴ほっといいて良いんだけど。だけど、背に腹は代えられない……。


「それで、今日の要件は何だ?分かっているとは思うが、俺は皇太子だからな?いちいちつまらぬことで呼び出されるのは嫌なのだ。」

「重々承知の上で、お伺いしております。それに今回は特に重要な案件についての話し合いたいと思ったのです。」


 はい、この俺様系ドアホが私の婚約者でこの国の皇太子:セイテン・ライン・リュズギャルです。

 薄紅色の髪に悪魔みたいに濃い赤の瞳。

 美しすぎて本当は失神したりすることがあるようだけど。

 私はそんなこと致しません。心ではそれぐらいの破壊力だけど。

 それより、速やかに本題に入りましょう。

 一秒でも早くお前との婚約を破棄したいのです。


 顔に出ていたのかな?

「婚約の話なら拒否する。何があってもお前との婚約は破棄する気はない。これっぽっちもない!!!!」


 なんかと堂々と宣言されてしまったし……。

 婚約という鎖につながれたうえで、お前の自己中ぶりに振り回されて、ガレナ死ぬんですってば!!!!

 だから、その鎖だけでもいいから取ってよ!!!!

 取ってくれたら、ヒロインとラブラブしてもなんも気にしなくてもいいってのに!!!!


「ああ、それと明日のパーティーのエスコートが無理になってしまった。本当にすまない。」と絶対に頭にもないことをポンポンと言いやがって……。

「そうなのですか?でもなぜです?いつも陛下欠かさずに私をエスコートしてくださっていたのに。」

 まぁ、どうせ新しい愛人でも作ったんでしょう。


 この人の一大問題点が、愛人だらけってこと。

 一応ガレナという婚約者いらっしゃってますけど、そんなこと関係なしって感じでいろんな令嬢に手を出しているのよ。

 しかも、すぐにほっぽり出しっちゃうし。遊ばれた人、可愛いそうだよね。でも、噂になってないんだよな?なんでだろ?

 でも、愛人作ってもエスコートは欠かさずしていたのになぁ。


「あー、今回は愛人とかではない!!!!」


 ホントかいな?いつもそういって愛人だったっていうオチじゃないか。


「父親に頼まれて、聖女候補者をエスコートしないといけないのだ。だから許せ!!」

 はいはい。言い訳に皇帝まで巻き込まれちゃったけど。

 って、おん?

 この時期で、皇族主催のパーティーで、聖女候補者?


 ................


 ヤバイ!!!!

 ヒロインが登場するイベントだ!!!!

 そうだ。ヒロインは聖女候補ってことになって、攻略対象者と出会うんだった⁉


 つまり?明日のパーティーで、このセイテンを落としてくれたら一件落着?

 あっ…違う。この人本当に婚約破棄、最後までしてくれないんだよ。

 してくれたと思ったら、次の日処刑されるの!!!! 最悪でしょ?


 アー、もう!考えることが増えちゃったじゃんか!!!!

 もう帰る!!!! 作戦練り直しだ!


「どうもお邪魔いたしました!!!! 私はこれにて失礼いたします! エスコートの件は承知いたしました。代わりに兄にでも頼みますのでご心配なきように。それでは」

 と大慌てで言い切り、さっさと部屋を出た。


 バタン........


「はぁ、ガレナ最高だな……。困惑した顔も、怒っている顔も文句なしだ…。こんなに可愛い婚約者居るのに、他のやつに興味なんかあるわけないだろ⁉あいつはどう考えてるんだ?」


 実は、セイテン皇太子はガレナの事めちゃめちゃ好きなんですが……。

 じゃあ、何でほかの人にも手を出したの?

 その理由と、ガレナがそのことを知るのはもう少し後の出来事。


 次回、波乱のヒロイン登場編です⁉


 パーティー行きたくなーい……。

 そういや、エスコート役誰にしよう?

 まぁ、イケメン寄って来るかな?

 この子の容姿からしたらよく釣れるよね。

 それに少し関係あったはずで、確か誰かガレナの事が本気で好きな人がいたはずで…

 誰だったっけ?その人に頼めばいいのになぁ?


 その片思い人も登場するし、色んな意味で波乱が起こります?

 どんなことが起こるのかはその目で確かめろ!!!!

 それでは次回。チャオ。





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