(3)ふたりの大冒険
今日は6月も半ばになり分場は曇りがち、北海道も梅雨の気配が
近づいてきたのでしょうか?
そんな中、小さい二人はなにやら相談をしているみたいです、
今日も少しだけ、覗いてみましょう。
「ふぶきー、ぼく家出するずー」
「どうしたぶ?いずくくん、いきなりー」
「うちのかあちゃんすぐ怒るし、おちちもなかなか飲ませてくれないずー
ふぶきのママが羨ましいずー」
「うーん、でも家出なんかしたら、ママたち心配しちゃうぶ?
それでもいくぶか?」
「いいんだよーぼくは決めたんだずー家出して冒険の旅にでるずー!
ふぶきもはやく準備するず!」
「ちょっと待つぶ、それならおべんとう持って行かなきゃぶ
とりあえず、草ぬいてっいくぶ」
(ずぼっ)
「ふぶき、そんな根っこからもっていくとおもいず?
はやく、いくだよー」
「まってよ、いずくくーん」
トコトコトコ……
あらあら、2人だけでお隣さんのほうへ行ってしまいましたね。
「シュシュサーン、ダヨサーン、子供たちあっちへいっちゃったデース
イインデスカー?」
「あ、大丈夫でシュよ。ふぶきもやっと独立心が出てきたことでシュし
これで、少しゆっくりできまシュね、ねえ、ダヨさん?」
「そうダヨね、いずったらなんか企んでるみたいだけど
おなかが空いたら、きっと帰ってくるダヨー」
「あらあら、あなたちもすっかりベテランママさんでシーね、そういえば
うちのケイコはママ一年生だけど、ちゃんと子育てできてるかしらね?
少し心配でシーよ」
「ケイコさんなら、大丈夫でシュよ、きっとこっ仔と元気いっぱい
遊んでるでシュ」
「そうダヨー、仔もきっと元気ないい子だと思うダヨー」
「そうね、あの子はひまわりみたいな子だったでシー、
きっと、大丈夫と思うでシーね」
その頃、いずくとふぶきは……
「わーい、おとなりさんの小屋のちかくまできたず、ってふぶは
お弁当たべてるずか?てきがでるかもしれないずよ!」
「もしゃもしゃ。てきってなんでふか?
にんじんのお化けでぶか?」
「ちがうずーしかさんとかクマさんが出るかもしれないずー
気をつけるずー」
「たしかに、しかさんはこわいぶ、でも、くぅねぇちゃんはおっかけっこ
してたらしいぶ」
「ふぶきのねえちゃんすげー、そういえば、つのが生えてるしかさんも
いるらしいずよ」
そんなこんなで二人が話をしていると、
おとなりさんがとつぜん出て来て。
「あら、君たち仔馬ちゃん?あなたたちだけでここまで来たの?えらいわね」
「わーなんかでたぶーーーにげるぶーーー」
「わーわー、まってよふぶきー」
ドドドドドー
「あらら、驚かせちゃったかしら、ご挨拶したかっただけなんだけどねー」
そう言っておとなりのお馬さんはちょっと残念そうに見送っています。
そして、二人はそそくさとママたちの下に戻って、
「ママ、ただいまぶー向こうになにかいるでぶー」
「ふぶき、あれはおとなりさんでシュよ、ほら挨拶してくれてるでシュ?」
「ほんとだ~おとなりさん、ふぶきでぶー」
「いずくも、あいさつするずー、おとなりさーん」
そう二人がお隣に向かってウンウンすると、向こうも嬉しそうにウンウン
してくれています。ちゃんとご挨拶できたようでよかったですね。
「そうだママ、おなかすいたぶー」
「ちぇ、ふぶきくんのいくじなし~今日はもっと遊びたかったず、でも楽しかったず
また、家出しよーず!」
「いず、今なにか言ったダヨ?」
「な、なんでもないでずー。あ、かあちゃんおれにもちちのませてー」
「わかったダヨー、早く飲むんダヨー」
「わーい、かあちゃん大好きずー」
「ふふ、この子たちも、まだまだお子ちゃまでシーね」
「そうデスネー、しっぽもまだまだキュートデース!」
「でもふぶきはすっかり大きくなったでシュね
兄弟の中で、いちばんガッチリした子になるかもでシュ」
「いずも、立派に育ってるダヨー私の自慢の息子ダヨー」
「てへへ、かあちゃんありがとでずー」
「いずくん、とってもうれしそうだぶー」
「こ、これは、ちがうず!そうだ、ふぶきー、今度はもっと遠くまで
冒険しようず?」
「そうでふね、つぎはいっぱいお弁当用意しておくぶ!」
気付くと、おひさまもそろそろ西の方へしずんでいっています。
明日は、2人にどんな大冒険が待っているのでしょうか?
つづく
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