第2話 パターン

 俺は女の知り合いがたくさんいて、Lineにもメールにも女の連絡先が100人以上登録してある。女の方から聞かれることも多いけど、俺から聞くと「私に気があるんだ」と女が勘違いして、高い確率であちらから誘ってくる。


 人妻で多いのは『今度、飲みに行きませんか?』という最初の一手。

『俺は禁酒してるから、夕飯一緒にどう?』と俺が誘う。一緒に飯を食ってから、『この後時間ある?』と聞くと、半分くらいの女は『ある』と答える。それで、ホテルに行くパターンが多い。俺はその人が結婚してるかなんて聞かない。そんなの関係ないからだ。女も自分から結婚してるとは言わない。独身の女はあちらから『江田さんって彼女いるんですか?』等と聞いてくる。そういう人は、結婚相手を探してるから、俺は結婚前提の彼女がと答えることにしてる。そういう女は何で2人きりで飯を食っているのかと苛立ち始める。


「食事くらい別にいいだろ?」

 相手の女は、俺に彼女がいると知ってがっかりする。

「どのくらい付き合ってるんですか?」

「3年くらいかな。そろそろ結婚しようと思うんだよね。君は?」

「私は最近彼氏と別れたばっかりで・・・」

「へぇ。聞いちゃ悪いけど何かあったの?」

「実は・・・」

「君みたいないい子を振るなんて、その男も見る目がないね」


 俺は根っからの軽薄な人間だ。相手の旦那が俺に対して「妻を寝取られた」と思うなら、そうかもしれないけど、俺の場合はきっかけを作ってるのは奥さんの方だ。

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