寝取られ

連喜

第1話 寝取られ

 俺が見た限り、”寝取られ”が恋愛小説で人気のジャンルのようだ。寝取られの本質は嫉妬だろうか。

 しかし、当事者が男の場合と女の場合は、ちょっとニュアンスが違うと思う。男は嫉妬で、女はプライドのような気がする。所詮はどちらも心の持ちようだ。


 俺は人妻の不倫相手が何人もいる。あちらから誘われると、俺に断る理由はない。


 一方で、友達以上、恋人未満の女をしょっちゅう寝取られている。

 でも、気にしたことはない。女は結婚したい時にしてやらないと、愛があっても別の男の方に行ってしまう。それに、寝取られると言うと、男に女を寝取られるということだと思うが、結局は女が他の男と自ら寝に行っているわけだから、俺は何とも思わない。そういうつまらない女は、さっさと結婚して、旦那に浮気されて不幸になればいいんだ。


 俺は今まで女を愛したことなんかない。だから、妻を愛しているという男を理解できない。女は感情的で、俺とは波長が全く合わない。1時間も喋っていると飽きてしまう。女と飯を食いに行ったりはするけど、内心は男と一緒にいた方がましだと思う。こんな感じだから、俺によっぽど経済的な便益をもたらしてくれる人でないと、とてもじゃないが結婚する気になれない。


 それに、旦那が妻を愛していたとしても、妻も同じように思っている夫婦なんているんだろうか?俺はそんな人を一組も知らない。


 俺はそもそも誰かを愛したことは一度もない。それは動物や家族でも同じで、親兄弟を愛するとか、ペットを家族のように思っているという感覚もわからない。それだけ人との関係は希薄。親友というものもいない。俺はかわいそうな人なのかもしれないけど、本心だ。


 俺が女に求めているのはセックスだけ。女が俺に求めているものも同じだと思う。

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