11-1作品目 ダッシュ・ダッシュ・レボリューション

「さて、二人共落ち着きやしたか?」


「あぁ……なんとか動けるぐらいには」


「僕も……」


 ニケの家は古い屋敷のような感じで、ししおどしまである。まるでアニメやドラマに出てくる屋敷だな……。


「なら早速始めましょ」


 今の時刻は18:45頃。3時間で30kmは頑張ってる方だと思いたい。


「まずこの台に乗ってくだせえ」


「ん?台に乗るだけでいいのか」


 取り敢えず言われた通りに乗ってみる。


「これでいいか?」


「……ええ、じゃあ姿勢を正して」


「ほい」


「じゃ、その体勢キープしてくだせえよ」


「え?あっ、ちょ!」


 俺がそのまま立ってたら、ウェイトベスト着せてきやがった!


(うっわぁ、人間には重そう……【重力強化ヘビー】)


(お前今さらに重くしたよな?な!?)


 俺はそのまま15分ほどキープさせられた。時々姿勢崩そうとしたらニケが笑顔で「今姿勢崩そうとしやしたか?」とすごんできたのは怖かった……。



「次にこの縄跳びを500回しましょう。普通の前跳びで構いやせん」


「ご、500……!?」


 嘘だろおい……。というか、これになんの効果が……。


「疑問に思うかもしれないけど師匠が言うことは絶対だよ、キリム」


 先に始めていたホープに言われる。まぁニケの鬼軍曹っぷりはさっき思い知ったし、やるしかないか……。


「よし!気合だぁー!!」


 俺はがむしゃらに飛び続け……。




「はぁ……はぁ……」


「はいキリムさん1000回お疲れ様ー」


 結局あの後500回終わればもう一セットと言われて合計1000回飛んだ。


「じゃあ次はちょっと場所を移動しやしょう。ホープさんは先に行ってやすぜ」


「はーい……」



「うわっ、凄いな。金かかりそうな設備だらけだ…」


 メカメカしい壁の部屋に着いた。床はなにやら光るっぽい。


「キリムさんには今からこの床の光った部分を順番に踏んでもらいやす。ちょっとでも遅れたら大変なことに……」


「ひぇ……」


「あ、安心してくだせえ。そんなに離れた距離には出やせんよ」


「ならいいんだが……」


「それじゃ、早速スタート!」


 目の前の床がピンクに光る。光のサイズはDDRのパネルぐらいのサイズだ。つまり、まぁまぁ踏みやすいサイズ。


「よっ」


 俺がそれを右足で踏んだ瞬間に目の前の床が水色に光る。


「ほいっ」


 ピンク、水色、ピンク、水色……。


「これ、歩いてるだけじゃね……?」


(傍から見たら歩いてるだけだね……)


(やっぱりそうだよな……)


 ニケは俺に何をさせたいのだろうか……。


「はいそれじゃあペースアップですぜ」


「よっ、ほっ」


 今度はジョギング並みの早さ。正直これまで足を酷使してるのでキツイ。


(強くなりたいのならそれぐらい問題ないだろう?)


(ったり前だ!)


 そのままジョギングを続けて……。


「はい、しゅーりょー。お疲れ様ですぜ〜」


「っはぁ……はぁ……」


「じゃあ今日はもう終わりやしょう。ホープさんも、そろそろ終わってくだせえ」


「……帰るって、どうすれば」


「あっしの忍術と素早さ、なめないでくだせえよ?」



「っわぁぁぁ!!


 ニケの左手を掴むと俺は少し浮いた。そこまでは良かった。浮遊感にテンションが上がってた瞬間に、ニケは全速力で走り出したのだ。


 ちなみに俺たちに合わせてた時の5倍は速い。やっぱりこいつ人間じゃねぇだろ……!


 そのままダイナミック帰宅をしたのは21:00頃だったのだった……。


「こ、これが毎日続くのか……」



――――――――――――――――――――――

次回へ続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る