8-2作品目 蛇人間さんドロップアウト

「ちょっと待ってくださーい!」


「来ないでくださーい!!私が何をしたって言うんですかー!」


「何もしてないんだったら止まってくださいよ!ちょっとうさぎ鍋について聞こうとしただけじゃありませんか!」


「それが駄目なんですー!だって許可取って無いのにうさぎ狩ってることバレたら……あっ」


「……」


 止まる俺。


「……」


 止まる蛇人間の女性。



「つ、捕まえろー!」


「ひえぇぇぇぇ!!」


 俺が学生だからか、女性が蛇人間だからかはわからないがどんどん差をつけられる。


「くっ……このままじゃ見失うな」


(どうする?私達が魔術使おうか?)


(……すまん、できるか?)


(はーい。まぁ今後強くなっていけばいいよ、主人公なんだし)


(あぁ、いつかお前らを倒せるぐらい強くなるさ)


(あはは、ホントになるかもしれないから怖い……


 さて、お話はここらへんにして……いくよ!)


(あぁ、いつでもいける)


(よしっ……

 【超加速ハイ・アクセラレーション】【超耐久ハイ・エンデュランス】【回復ヒール】!!)


「うわっ!」


 この魔術すごいな……。


 俺はそのまま女性を追いかける。ただし、さっきの3の速さで。


「……!?」


 あ、あの人振り返ったら俺がめちゃくちゃ速くてびっくりしてたな……。


(そろそろ追いつくね。戦闘になるかもだし、気をつけて)


(俺は何も手伝わんからな。やるならお前らでやれ)


(ありがとな、ふたりとも)


(なぜ俺にも感謝する……)


(いやいや、日頃から色々教えてくれてるからな?)


(……フン)


 そうこう話している内にも梅の前まで追いついた。


(よしっ、あとは捕まえるだけ……!)


「待てっ!」


「ひっ!【毒牙ヴェノム・ファング】!」


 女性がいきなり振り向いて、噛み付いてくる!


(おっと、【空気壁エアー・ウォール】)


 彼女の噛みつきは、俺の目の前で壁にぶつかったかのように止まる。


(キリム、手を前に出して)


(こ、こうか?)


(うん、おっけー。【拘束バインド】)


 ガヴが魔術を唱えると、俺の手から縄が出てきて蛇人間を捉えた。


「わっ!ぐへっ」


 あっ、両手両足塞がったからコケちゃったよこの人。


「えっと……取り敢えず、兎についてなんですけど……」


「うっ……わ、わかりました。


 最近お腹が空いたりしたときに、そこの平原に無断で菟を狩って食べてるんです…」


「食べ……ま、まぁそこは置いといて……」


 実際この人は犯罪者なんだろうけど、困ったな。


「つまりあの地下室は知らないのか……」


「地下室?」


「あぁ、いえ独り言なのでお気になさらず。あと、警察呼んでるんで僕と一緒にここで待ってくださいね」


「は、はいっ!逃げようだなんてそんな……!」


 すっかり怯えられてるな、俺。


(いきなり秘密がバレてしかも全速力で追いかけてくる男性とか怖いよ)


(……それもそうだな)


 この後蛇人間の人と少し駄弁って、ポライトさんに引き渡した。


 にしても、ガヴが使った魔術とかってランク高かったような……。


 やっぱり、ガヴは天使なんだな、と実感した。




「……あっ、学校!」



――――――――――――――――――――――

次回へ続く

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