8-1作品目 ご注文はうさぎ鍋のレシピですか?

「産業」


「俺主人公

 平和な物語目指して

 頑張るぞぃ」



「おっはよーーー!!!」


「ぐへぇっ!」


 挨拶とドアを開ける音と共に俺に飛び乗るエルミ。正直とても重い。


 ウインナーのいい匂いがするので朝食は出来ているのだろう。


「……重いっ!」


「酷いっ!」


「起こしてくれるのも朝ごはんを作ってくれるのも有り難いが、起こし方というのを考えろこの野郎!」


「あー!この野郎って言った!この野郎って言ったぁ!」


(朝から元気だねぇー)


(……フン)


 俺は昨日、シルラさんからペンダントと兎狩りの犯人についての話を聞いた(聞いたところでできることは全く無いが)。


 ラノベとか漫画とかなら実はシルラさんが犯人でしたー的な展開もあり得るが……


(まぁ、テルに大きな被害は及ばないだろう。俺が主人公になって最初の事件だし)


(それにキリムが大好きな子だもんね)


(あぁ……って!)


(いやバレバレだよ!?隠してるつもりだったとか言わないでよ!?)


(いや、心の中までは流石に隠せないし……)


(いや外面もわかりやすいよ)


(!?)






「いってきまーす」


「いってらー」


 挨拶雑だなおい。それはそうと、テルに怒られないように早く行かなきゃ……。


「るんらった〜♪今日はぺk……うさぎ鍋にしよう〜♪」


「……?」


 今すれ違った女性、うさぎ鍋とかいうこと言ったよな……。


 これ、後々犯人だったのかーってなるやつだよな……。


(ガヴ、ハーデス、あいつに勝てると思うか?)


(見た感じ、確かに蛇の気配も感じるし……蛇人間かな?)


(だろうな。まぁ、人間よりもは強いだろうし、お前一人では勝てない。


 まぁ俺たちが力を貸したら勝てるだろうが)


(そっか……)


 そもそも犯人と決まったわけでもないし、別に攻撃する必要無いよな、うん。


(戦わないのはいいけどさ、少し話を聞いてみたら?)


 それもそうだな。よし、話しかけてみるか。


「あの〜、すみません」


「ひゃいっ!?」


 その女性の外見は……髪は緑で長くて、目つきは少し鋭い。そして、頬周りから下には鱗があり……


(うん、これは蛇人間だね。魔素的には…一般人レベルかな)


 蛇人間。名前の通り人間だが体の一部が蛇な種族。蛇になっている部位は個人個人で違う(この人の場合は頬周りから下に鱗がある)。


「え、えっと……なんのようでしょうか」


「あ、そうでした。さっきすれ違ったときにうさぎ鍋と聞こえてきまして……」


 俺が「うさぎ鍋」という単語を言うや否や、全力で走って逃げられた。


「これ何かしらやってるやつじゃん……」


(追いかけないとねー)



――――――――――――――――――――――

次回へ続く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る