7-3作品目 シリアスっぽいがゴミみたいな性格なキリム

「キリム……カンニングでもしたんですか?こんな高得点取るなんて……」


 俺はテストの結果が出されるや否や、テルに疑われてた。


「他の人の回答とか見てないからな?ホントに!」


「まぁ、嘘じゃないから良いんだけど……」


 見てはいない。聞いただけだ。嘘はついてないぞ?


「ごめんね、キリム」


「ん?何がだ?」


「疑ってしまって……。だって、こんな点数取るなんて頑張ったに決まってるでしょ?」


 頑張ってないです。


「キリムの頑張りを私は貶した。ホントにごめん」


 いや、ホントに、これっぽっちも頑張ってないです。


「べべべ、べ別に気にしてないよ??そりゃそう思われても仕方ないし!!うん!!」


(実際ズルしてるもんねー。キリムには良心というのが無いのかなー?)


(うぐっ)


 テルを見る。申し訳無さそうな顔だ。ガヴの言葉を思い出す。……うん、今度からはちゃんと勉強しよう。絶対に。



 放課後


「キリム、どこに行くんですか?」


「あぁ、ちょっとおつかい頼まれてるから……」


「そうですか。じゃあ、また明日ね」


「あぁ、また明日」


 俺はテルと分かれて、おつかい……いや、兎人族のシルラさんに会いに行く。



「こんにちは」


 俺はカフェの入り口を開けながらそう言う。


「いらっしゃいませ。……っと、君は昨日の」


 開けた先には、店長がいた。相変わらず体つきが良いな……。決してデカくはなく……細マッチョというやつか?


「今日も食べに来てくれたの?」


「あぁ、それもあるんですけど……シルラさんっていますか?」


 その言葉を店長が聞いた瞬間、店長はまるで雷が落ちてきたかのような表情を見せた。


「あのシルラにもついに恋人が……!」


「いや恋人じゃないです」


 店長の頭にチョップを入れるシルラさん。どうやら会話が聞こえて来たようだ。


「ん、大体話したいことはわかってるよ。ささ、その前にご飯だ」


「あ、そうですね」


 この日はナポリタンを食べた。美味しかったぞ。



「……さて、話はあのペンダントについてだよね?」


 俺とシルラさんはカフェの近くにある公園(エルミと出会った公園とはまた別)に移動した。


「はい。あのペンダントを何故テルに……?」


「君たちが知っているかはわからないけど……ここ最近、電兎エレキラビットたちを捕まえては殺している奴がいてね。


 そいつのせいで電兎エレキラビットたちがだいぶピリピリしているんだ。だから、電気を外に流す仕組みになっているペンダントを渡したの」


「なるほど」


 捕まえては殺している奴……多分、アレの犯人だろう。


「あの子、兔を見つけては追いかけてるでしょ?電兎エレキラビットたちから聞いてるよ」


「聞いてる……?」


「私の能力、【兎語翻訳ラビットーク】だよ。兎たちの言葉がわかるんだ。ささ、これで話は終わりかい?」


「ありがとうございました。また来ます」


「うん、ありがとね」


 シルラさん……掴めないけど、悪い人では無さそうだ。


「おっと、最後にいい忘れてた。兎達からの証言によると、どうやら犯人は『蛇のような人間』だったらしい」


「いちばん大事なやつじゃないですか!!」


「ま、ちゃんと教えれたし良いでしょ」


 ……悪い人ではないが、良い人とは自信を持って言えねぇな。


(にしても、『蛇』ねぇ……)


(『蛇人間スネークマン』とかかな?もしかしたら『蛇の女王メドゥーサ』かも?)


(どっちにしろ、俺たちには何もできないし……ポライトさんに教えておくか)


 こうして。


 特に何事もなく平和に今日は終わったのであった。

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