7-2作品目 帰ってきた主人公

「……前回から何日経ったんだ?」


(ん?なにか言った?キリム)


(いや、何でもない)


 うん、これはこの世界には関係ない話だし……。にしても、期間空き過ぎだろ。ちゃんとしろ、作者。


「ただいまー!キリムちゃん大丈夫!?」


「うわっ!ちゃんと玄関から入ってこいよ!」


 エルミは体をスライムにして俺の部屋の窓から入ってきた。ホントに無神経だな……。


「だって……心配だったんだよ!我が愛息子が危ない事件に巻き込まれたかと思うと……」


 涙流しまくって抱きつくエルミ。体はもう人間なので、その……デカいのが当たっている。


「……」


(いやぁ、良い母ですなぁ)


(うるさいぞ馬鹿)


(!?)


「はぁ……心配してくれたのは嬉しいけど、今度からはちゃんと玄関から入ってこいよ?」


「ゔん……」


 確かに良い母親かもしれない。だが……


「母親というより、姉なんだよなぁ……」




「……なるほどね。テルちゃんとデートしてたら兎の惨殺死体を見つけた……と」


「デートではない、決して」


「はいはい。でも首なしねぇ……。なにかの儀式とか、それとも趣味とか……?」


「そこらへんはまだ調べてるって。一応俺たちが被害に合わないように数日はエルミと一緒に登校しろってさ」


「それはわたしも聞いたよー。キリムちゃん」


 エルミと登校ねぇ……。まぁ、テルもいるんだが、ちょっと恥ずかしいな。


(キリム氏、未だに母と登校……うーん……あまり面白みがないな)


(勝手に人をネタにするなこの野郎)


(口悪っ!)


「ま、取り敢えず今日はお風呂に入って寝たら?明日学力測定あるし」


「あぁ、そうす…………ん?学力測定?」


「今日学力測定してなかったでしょ?だから、その分を明日するの。ちゃんと言ってたはずなんだけどなぁ」


「……」


 まずい、非常にまずい。正直なにも勉強してないし、どうしよう……!


(なんだ、一夜漬けするのか?寝そうになったら起こすぞ?)


(……いや、俺にしかできないこれ使うんだ)


((……?))




翌日


「では、テスト……よーい、はじめッ!」


 俺はスタートの合図と同時に、まるで表面張力でぎりぎりだった水に一滴落ちたかのような勢いで問題用紙を見る。


【第一問】

かつての天界で起こったとされる、アマビエルとアブラエルを中心とした大祭をなんという?


 そう、俺にしか出来ないこととは……!


(えっと……対魔の大祭だっけ?わたしもあれに参加してたよー)


 ガヴとハーデスに聞くことだ!


(これはカンニングではないのか……?)


(いや、大丈夫だ。言うだろ?「バレなきゃイカサマじゃあない」って)


(……)


 結局、俺がAを取ったことは言うまでもない。


――――――――――――――――――――――

それぞれの学力結果

A キリム、ホープ

B コハル

C テル

D ニケ

E なし。



―――次回へ続く

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