2-2作品目 天使の怒りは恐ろしい
「改めて、
「冥府の王、
「キリム・レイターナ、無能力者だ。」
無能力者。それは魔成生物だが能力は所持していない者を言う。そう、このときはまだ無能力者だった。いや、
「まず、何故お前がここに居るかの説明だ。ここに来られるやつは『ここの結界を通れるほど強い奴』と『強い奴の支援により入れた奴』のニ種類だ。ちなみに言わずもがな、お前は後者だ」
木の枝に寝転がって説明するハーデス。しかも目を閉じえいるから寝ようとすれば今でも寝れます感が凄い。
「じゃあ、誰が何のために俺をここに?」
「それは……」
「はいはーーーい!! 私が説明するよーー!!」
元気よく手を挙げるガヴリエル。なるほど、こういうタイプか……信仰してる人たちがこれを見たらどんな反応するのやら……
「……では、よろしく頼む。俺は寝るぞ」
「おやすみー。……さて、『誰が』『何のため』にだったね。まず『誰が』何だけど、それは……」
「それは?」
無駄に溜めるガヴリエル。それを気長に待つ俺。
「私とハーデスよ」
……まぁ、予想はしていたから驚きはしない。
しかし――
「理由は?」
「『何のため』に貴方を呼んだのかというと、私達が復活を果たすためね」
「はぁ? 何で俺とお前らの復活が関係あるんだ?」
「あぁ…気づいてないのね。いい? 一回深呼吸して」
「何でだ?その前に復活についt」
「深呼吸しろって言ってるでしょ?」
「っ!!」
木々がざわめく。風が強くなり、空気もとても重くなった。
重い空気で試験を思い浮かべる人もいるだろうが、そんなのと比べれるレベルじゃない。
威圧感に押されて一瞬吐きそうになった……が、ギリギリ耐えれている。
ガヴリエルが調節しているのか?どちらにせよ、ガヴリエルの言うことは聞かないといけないと肝に銘じた。
俺はこれ以上ガヴリエルを刺激しないよう、深呼吸をした。わざわざそんなことのために命を落とすほど馬鹿じゃないからな。
「よし、深呼吸したね。じゃあリラックスして
目を閉じて。目を閉じた後は私が色々と何とかするから」
先程の威圧がまるで夢かのように、天使のような笑顔を見せるガヴリエル……いや、実際に天使何だけどね。
「は、はい」
さっきの威圧に気圧され、つい敬語になってしまう……。
俺はこんな化物相手にお前とか言ってたのか。
圧倒的な力を前にした者は、力の差に絶望し動けなくなると言うが……確かに、その通りだ。
今もリラックスしようにも出来ない。まだ恐怖のせいで身体が震えている。
「ふむふむ……さっきの威圧のせいでリラックスは出来てなかったけど、起きる頃には気付いてくれるかな?」
「……?」
わけのわからないことを言うガヴリエル。俺には理解出来ないが、言葉をそのまま受け取るならこれは夢で、俺は起きる頃には何かに気付くということか?
「要件も済んだし、今日は取り敢えず帰ってよし!また明日ねーー」
「え?……え?」
帰ってよしと言われてもどう帰れば……。ん?何か眩しい?ガヴリエル達が消えているわけでもない。日差しが強くなったか?にしては何かおかしい。
「って!俺の体消えてってる!?」
ガヴリエル達が現れたときの逆再生かのようにだんだん消えていく俺の体。
俺は一応「完全に消えたら元の場所に戻れてるのか?」とガヴリエルに聞いてみたが、予想通り帰れるらしい。
もう何も見えない。あたり一面が真っ白で、最初からあの迷いの森の様な場所が嘘かのように感じる。
「あ!私達ずっと見てるからね!変なことしたら明日笑ってやるから!」
……完全に消える前に急に嫌な予感がしたのは言うまでもない。
……というのが今朝の夢の内容だ。
で、目が覚めたら主人公と気付いたってわけだ。
ガヴリエルが言ってたのはこの事だったのか。
しかし、あの威圧感半端なかったな……今も見ているっぽいが、今後あいつを怒らせないようにしよう……
(俺がこのことを秒で忘れたことは言うまでもない)
――――――――――――――――――――――
次回へ続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます