1-2作品目 面倒くさがり先生モール

ガラガラガラ…


ん…?誰だ?遅刻生徒かな?


 俺はエルミから目をそらし、入り口を見る。


 …教室に入ってきた人は、生徒と言うには大人びていて、先生というには少しだらしなく、それはまるで…


そこらへんのおっさんの様だった。


「キリム・レイターナを預かりにきましたー。…お前がキリム・レイターナか?」


「そ、そうですが…」


「お前はⅥ組だ。番号111だ。」


「覚えやすっ!死ぬほど覚えやすい番号じゃないですか!!」


「でもお前、忘れたんだろ?」


「…」


 俺は目をそらした。


「…。行くぞ」


「は、はい」



…気まずい。先生の見た目も相まって話しかけづらい。


「えっと…教師になって何年目なんですか?」


 ここで俺はつまらない質問をした。


 先生はその黒色の瞳で俺を見てきた(もしかして睨まれた?)。ちょっと怖い


「…それよりまず、俺の名前を聞けよ。」


「あっ、そういえばまだ名前聞いてませんでしたね」


「ったく…俺はモール・トラブサム。重度の面倒くさがりだ。」


「キリム・レイターナです。ただの生徒です。」


「ただの生徒は初日に遅刻しねぇんだよ。んで、教師生活何年目か、か…」


 ツッこみつつもちゃんと質問に答えてくれるモール先生…意外と優しいのか?


「6年目だな。この学園を卒業後、ハンターをしていたが恩師が死んでな…その後、教師になることを決意して、ランクを上げて教師になったってわけだ」


 やぁ!シリアス中に割り込む説明君だよ!え?ふざけんなって?すみませんでした。


 さて、ランクという単語が出たな。今回はランクについて説明するぞ。


 この世界ではあらゆるものにランクがある。


 能力値、品質、生物の危険度、業績や実力による成績などなど……色々なものにランクはつけられている。


 今回モール先生が言ったランクは全12段階ある。低い順に、G〜A、R、S、SS、SSS、Zだ。R以降はアスリート級と言える。つまり、凡人と天才の境目だ。


 もちろん、ランクによって就ける職業が変わるとか、そういうのはないが、低ければ受かる確率が低いのも事実…。だから、こういう学校がある。


 ちなみに能力値…云わばステータスは全5段階(その人のランク、年齢などを元にしてE〜Aで表す)。


「大変だったんですね…先生も」


「大変じゃない人生をおくるやつなんかいねぇよ、どんな生き方でも面倒くさい時は面倒くさいんだ」


 …モール先生は優しいけど変な先生なんだなと思ったのであった。


――――――――――――――――――――――次回へ続く

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