6-2作品目 EATING!!
「……ココ、うさ耳カフェなんですか?」
「いや私が兎人族なだけだから」
的確なツッコミをしてくる店員さん。……たしかに、耳は自然に生えてるようにしか見えない。
「あ、注文はチキンライス二つで」
「はい、承りました。イムナさん、チキンライス二人前ー」
「了解!腕によりをかけて作るよー!」
「その受け答え要らないから……」
厨房の方から元気な女性の声が聞こえた。どうやら、イムナという名前のようだ。その声を聞き、兎人の店員さんはキッチンへと向かっていった。
俺はテルの方に視線をうつす。テルはお腹が空いてるのか、そわそわしている。まるでご飯を今か今かと待っている小動物のようだ。
「少しは落ち着け」
「うっ……そんなに表に出てました?」
「うん、出まくってた。腸刺されたときに出る血の量並に出てた」
「例えがグロテスクなんですが……」
その後もテルと色々と話して数分……。
「おまたせ。チキンライス二人前です。あ、すみません。髪に毛がついてますよ」
店員さんがテルの方を向いて言う。
「えっ!?ホントですか?ありがとうございます」
テルがそれを取ると、店員さんが反応する。
「それ……
「た、多分……」
「……」
神妙な顔をしている店員さん。兎人としてこの兎大量発生に何か関わっているのだろうか……?
「あ、ごめんね。ささ、冷めないうちにどうぞ」
「「いただきます」」
(はわぁ……美味しそう……)
(フン。別に羨ましくなど……など……)
(食で意見が合うなんて何百年ぶりなんだろうね)
(……そもそも『アレ』の話しかしてなかっただろう)
何やら気になる内容を話しているが、今は取り敢えずチキンライスを食べよう。
俺とテルは一口パクっと食べる。
「「!!」」
う、美味い!ケチャップの程よい旨みとパラパラ具合が完璧な米……そして、少しピリッとしているチキン……。
「店開けるレベルだ!」
「ここ店だよっ!」
厨房からツッコミながら金髪で片目を隠し、ヘッドホンをしている、ストリートダンスとかしてそうな女性が出てきた。
「ま、さっきの言葉は美味しかったと受け取っておこう」
「美味しいです!」
「そうか、そうか!シルラ、聞いた?美味しいって!」
「うん、聞いたよ。良かったね」
無表情で思ってそうでもないことを言う、シルラと呼ばれたさっきの店員さん。
その言葉が本心ではないと気づいてないのか、未だに嬉しそうにしてるイムナさん。
そして、話も聞かずに美味しそうにガツガツと食べるテル。
……俺も食べよ。
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次回へ続く
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