6-1作品目 デートと言うなかれ

モブ「今北産業」

俺氏「ステータス測定した

   兎モフモフした 

   デート誘われた←今ココ」



 俺は今、テルと一緒にカフェのカウンター席に座ってる。


(あれ……。何でこんなことに……?)


(……順番に整理すればいいだろう)


(なるほど、確か……




「デ、デート?」

 俺は素っ頓狂な声で尋ねる。それぐらい驚いてるってことだ。


「うん、デート。正しくはデートと同じことをするだけだよ。……あれ?結局デートなのかな?」


 困惑してるテル。その見た目は可愛いが、言ってることはわけわからない。


「つまり、デートと同じことはするが、デートとしては考えてない……そういうことか?」


「だいたいそんな感じ」


「……」


「いや、別にキリムが好きじゃないとか、恋愛対象として見れないとかは無いですよ?ただ、付き合ってすらない男女がデートだなんて……」


「そういうところは相変わらずだな。上から目線なのも」


「えへへ」


「褒めてないっ!」


「で、理由なんですが、美味しそうなアイスが売られてて……それがちょっと高くてですね……。なので、割り勘ではんぶんこすれば良いのでは?と考えたの。量も多いから、良いと思ったんだけど」


「ふむ、やぶさかではない。実際、そのアイスも気になるからな」


 そう俺が言うと、テルは「やった!」と言ったりして喜びながら飛び跳ねる。


 何度か飛んだ後、ピタッと止まり……。


「それじゃ、昼ご飯も一緒に食べるのは……?」

 テルが恐る恐るというふうに聞いてくる。


「そうだな、久しぶりに食べるか」


 パァァァァ!って聞こえるぐらいの明るい顔。そんなに人の金で昼飯食いたかったのか?


(……なるほど、主人公になったら鈍感になるのね)


(え、嘘……マジ?)


 流石にそれは無いと信じたい……が、おそらく鈍感属性もついてきてるのだろう。最近の主人公には鈍感と難聴の属性が必ずというほどについてくるもんな。

 

「そうと決まればさっさと着替えて行くか」

「うん!」

)



(俺が寝てる間にそんなことがあったのか)


(また寝てたのかよ……まぁ、確かにいつもガヴしか話しかけてこないもんな)


(いつもとか言うな)


(はいはい……)


 俺はハーデスとの会話を切り上げて、テルの方を見る。テルはメニューを見て悩んでるようだ。


「キリムはもう決めた?」


「あぁ、この当店オススメのチキンライスってやつにしたぞ」


「なるほど、当店オススメだけで決めたでしょ」


「当たり前だろ?」


「……」


 テルが呆れたような、少し笑ってるような目で見てくる……。嘲笑われてる?


「私もそれにしよっと」


 ……考え放棄したな、さては。


「すみませーん」


「はーい」


 出てきた店員は……


 ロップイヤーが生えた、雪のような兔人だった。



――――――――――――――――――――――次回へ続く

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