5-2作品目 出会って5秒で赤の他人
「一時間目からステータス測定かぁ……」
「ん?嫌なんですか?」
後ろの席から首を傾げて質問してくるニケ。少し煽ってるようにも見えるが、気のせいではないだろう。
「いや、嫌じゃないけど……」
この能力のせいで一時間目になったのかと考えると……はぁ。
「良くわかりやせんが、あっしは嫌ですね。朝からだと力でやせんし」
「そうなんだよなぁ。まぁ、俺たちに拒否権はないから、できるだけやるしかない」
「それしかないですね」
一時間目
「私がステータス測定の説明をするよー!まず、専用の機械の前に立ちます。そしたら、説明が書かれてる看板みたいなのがあるからそれを見てね。以上」
ダルそうに欠伸をしながら話すエルミ。やる気0なのは言うまでもない。
((((全く説明してない……))))
これがうちのクラスメイト達の心がひとつになった、初めての瞬間だった。
「あ、そうそう。出席番号順に四人ずつの班になって測定してねー。順番は『魔素』『魔術』『力』『速度』『正確性』だよー。それじゃ、各自でよろしくー」
「あっしはキリムさんと同じ班ですか……あっ、テルさんじゃなくってすいやせん」
「なるほど、殴られたいなら言えばいいのに」
「半分冗談っす」
全く、これじゃあヒロインが誰かわからなくなるじゃないか。ニケがヒロインは嫌だぞ?
(このニケって子、かわいいね~。私程じゃないけど)
(うん、ガヴは黙っといて)
(!?)
急に話しかけられたらびっくりするんだよなぁ……。
「あの〜」
「はい……っ!?」
こいつ……デカい!
俺に話しかけてきたのは細身で高身長な女性だった。見た目で判断するなとよく言うが、バレーをやつてそうな見た目である。
「出席番号16番、コハル・ローズと言います。呼ばれ方に拘りはありません。宜しくお願いします」
「キ、キリム・レイターナだ。出席番号15は。俺もテキトーに呼んでくれ。宜しくな。んで、これが……」
「これ呼ばわりとは……出席番号14、ニケ・ルミナス(以下略)です。気軽にニケと呼んでくだせぇ。宜しくです」
(また女子か……)
(ん?お前は嫌なのか?)
(嫌という程でもないけど、男も居たほうが気が楽になるな。それに、ハーレム系目指してるわけでもないし)
(ふん……男ならハーレムなどを目指せばいいものを……案外、面倒くさいやつなのだな)
(お前には言われたくねぇ)
さて、残りの一人はいったいどんなやつなのか……。
「ねぇ知ってる?ライオンって実は単体ではそんなに強くないんだ。それでも最強、孤高の存在って言われてる……これは、ライオンのビジュアルのおかげだよね。やっぱり世の中ビジュアルなのかなぁ……」
「うん、まずは挨拶しよう、級友よ。」
「確かにそうだね。僕は13《サーティーン》、ホープ・ライオンハート。宜しくね」
自分の胸に手を当てて、堂々と自己紹介をするショタ。見た目は例えるなら……め○かボックスの雲○冥利かな?
「何カッコつけてる、ホープ君よ」
「いやさ、13ってなんか悪いイメージじゃん?だからかっこよくしたら良い感じになるかな?と」
「ならないから」
「ちぇ〜。というか、初対面なのによくそんなに言えるね」
「あ、ごめん……」
「ホープさん、キリムさんは出会って5秒で赤の他人という素敵なひとなんですよ。だからそんなふうに話しかけてくれるんですよ」
「いや出会って5秒で赤の他人は普通だから。ほら、さっさと測定してくぞ。俺達は速度からだぞ」
こいつら(コハルさんを除く)と上手くやっていけるのか、不安になってきた今日このごろだった。
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次回へ続く
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