第14話 部活終わりは一緒に帰宅だよ?上

その後も先輩方の誤解を解く事に時間がかかり、練習出来ないまま立に入ってしまった。

あの人たちくどすぎる………。

部活が終わり、更なる追求を避けるためすぐに着替えて弓道場を出た。



§



この学校の図書館は、各国から各国から本を取り寄せているため、2階建てになっている。

1階が図書館で2階は書庫になっている。


「さてと、どこ行った?」


図書館とは言ったが、やはりと言うか広い。そのため、無闇に探そうとすると時間がかかる。だが、ここでスマホを使う訳にもいかない。どうしたものか……。


「あれ、綾斗?」


悩んでいると、側に少女が来た。

腰まである薄紫色の髪のポニーテールに、白銀色の瞳。名前は西平にしひら志緒理しおり。この見た目で日本人だ。本人曰く祖父や曽祖母などが外国の方なのだとか。

こんな見た目だからモテない訳もなく、付いたあだ名は【図書館の精霊】。図書館に居ることが多いのと、本を読んでいる時の姿がまるでこの図書館と同化している様に見えるからなのだとか。

俺の事を知ってる理由は同じ図書委員だからだ。まぁ、勘繰られる事は多いのが癪だが……。


「また本を借りに来たの?」


その精霊さんはどうしたのかと俺を見ながら首を傾げる。


「いや、ここで人と待ち合わせなんだが、その相手がどこにいんのか分からなくて探してたとこだ」

「ふぅん。珍しい」


図書館には本を借りるか、図書委員の仕事かどちらかでしか来てないため、本を借りに来たのだと思われたようだ。


「ちなみに、その相手は?」

「え?あー、気になる?」

「ん。気になるし、私が知ってたら手伝ってあげようと思って」

「………さいで」


ヘルプ!!エデ!!パマギーチェ!!

つい英語、フランス語、ロシア語で助けてと心の中で叫んでしまう。

どう説明すりゃ良いんだよ!?普通に怪しまれるだろ!!(関係性が)でも言わないのも変だしなー?(関係性で)

進退両難、絶体絶命、危機一髪とはこのことか?


「志緒理、少しいい?」


そんな俺の危機を救ってくれたのは、李芳リーファン先輩。2年生の図書委員で、副委員長を務めている。肩口まで揃えられた黒髪と黒目は日本人の様にも見えるが、歴とした中国人だ。

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