第12話 部活で先輩方に問われる内容?

「それで、本当に何も無いのかい?」


昇降口に行ったら薙亜がいた。部室(弓道部の道場は校舎から離れたとこにある)に行く途中、やはりと言うか聞いてきた。


「何もねーよ。逆に、何があると?」

「うーん、君の事だから突拍子もない事だろうね」

「………何もねーよ」


当たらずとも遠からず。実際ルームシェア相手であるため、否定しずらい。

などと、そんな風に雑談しながら部室に行くと、近づくにつれいつもと違う事に気づいた。


「……何だ、あれ?」

「うーん……。何だろうね?」


何故か先輩方が道場の前で並んでいた。まるで、何かの訪れに備えている様な、はたまた逃がさんとしている様な……。そんな緊張を含んだ面持ちで並んでいる。

あ、こっち見た。一応挨拶しておこう–––––と、思ったのがダメでした。


「お疲れ様です」

「「「「!!!!!!」」」」」


何だろ、めちゃくちゃ睨まれてる。てか、囲まれてる。なに、この人達。怖すぎるんですが?

などと考えていると、1人の先輩が前に出てきた。


「神崎、俺の質問に正直に答えてくれよ?」

「え?あ、はい」


めっちゃ怖い。肩掴まれて逃げられんし、そもそも包囲されてる時点で……って、包囲って。俺なんかした?あ、薙亜。逃げんな。助けろ。


「お前さ、正直に答えろよ?嘘ついたら………な?」


な?じゃないです。なんですか。俺は何を問われるのですか。



「お前、天使様と付き合ってるのか?」



…………………?????

「はい????」

「恍けるな!!俺は見たぞ!お前が天使様と校内で仲良さげに歩いているとこを!!」


あ、それ校内案内している時だな。

先輩の次は、その隣の先輩が叫んだ。


「俺も見たぞ!!しかも、今日は朝から教室で仲良く会話してただろ!?」


クラスメイトだからな。てか、何で先輩が見てたんだよ?うちのクラスにいたの?


「それなら俺も………」「いや、俺は……」「あ、俺も見たぞ。その後………」


いや、何で皆さん知ってるんですか。

昨日の事や授業中の時、休憩時間の時など、どこから仕入れた情報なのか、話し合っている。


「そこまでにしといたらどうだい?」


そんな俺を助けてくれたのは、弓道部部長の玖珂晴人くがせいと先輩だった。


「ほら皆、もうすぐ礼拝の時間だから準備してよ」

「そんな事言って、晴人はどうなんだよ?」

「そうだ、先輩は気になんないのですか?」


先輩方はそーだそーだと部長に同意を求める。その返しはたった一言。


「ないよ。彼女いるからいいかな」


この一言だけで––––


((((そうだった。この人彼女持ちだった………))))


先輩方は彼女持ちの余裕を目の前に、撃墜されるのであった。

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