第10話 放課後にする事ですか?

授業が終わり放課後になれば、部活がある。帰宅部でない限り当たり前の事だ。俺は弓道部に所属している。


「綾斗、今日は部活行くの?」

「昨日は休んだみたいだけど、今日はどうするんだ?」


鞄に教科書等を入れてると、グランと美空が話しかけて来た。


「あぁ、行くよ。連続して休んだら、体が鈍るからな」

「綾斗に限って、それはないと思うけどなー」

「それは過大評価だろ」

「そうかな?僕はそう思わないけど」


2人と話していると、1人の男子生徒が近づいて来た。


薙亜なぎあか。何か用か?」

「用が無ければ話しかけちゃいけないのかな?」

「別に、そう言う訳じゃ無いけどよ……」


話しかけてきた男子の名は薙亜華羅都なぎあからと。高身長でイケメン。成績優秀の代わりに運動神経は普通。しかし、穏やかな性格なため、かなりモテるし、【王子様】とも呼ばれている。本人は嫌そうだけど。ちなみに部活は俺と同じ弓道部。


「僕はてっきり、【天使様】の案内の続きをするのかと思ったよ」

「【天使様】?」

「あれ、知らないのかい?華神さんのあだ名だよ」

「もうそんなあだ名が?」

「僕も、朝聞いた時は驚いたよ。なんでも、挨拶しに行った生徒がそう言ったみたい。その生徒と数人、瀕死だったとか………」


すごいな、アイリス。たった1日でもう有名人か。薙亜は3日だったっけ?


「と言うか、今の今まで全く聞かなかったのかい?君、その【天使様】の隣の席だろ?」

「う、それは……」

「こいつの場合、そんな事より読書だろ。どうせ、今日も休み時間は読書してたから聞こえてないんじゃね?」

「あー、それしかないだろうねー」


コイツら………。薙亜が苦笑いしながら聞いた事に、なぜかグランが答え、美空は納得した様に頷いた。何も言い返せないのが悔しい………。


「何も言い返さないって事は、当たりかな?」

「うるせー、用が終わったんなら俺は行くぞ」


そう言って鞄を持って部活に行こうとすると、慌てた様に薙亜が止めた。


「待った。揶揄ったのは謝るから、本題を言わせてくれ」


そう言って近づいて来る。まるで、内緒話でもする様に。


「さっきから華神さんがこっち見てるけど、何かあった?」


驚いてアイリスの方を見たら、こっちを窺うように見ていたアイリスと目が合った。

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