第5話 ルームシェア相手ですか?下

「で、何でいるの?」


家に帰ると、なぜかアイリスがいた。


「パパから、わたされた、ちず、に、ここの、じゅうしょが、かいて、あった」


ふむ、住所間違えているかと思い地図を見せてもらう。間違いなくここの住所でした。


「もしかして、ルームシェア……?」

「うん」


まさかと思い聞いてみると当たりでした。

今朝親父が言ってたのはこの子か……。

マジか……。


「とりあえず、入るか」


鍵を開けて入ると、後ろからアイリスがついてくる。


「おじゃま、します」



§



「それで、父親から何も聞いて無いのか?」


ソファに座ってお茶を飲みながら聞いてみる。ちなみに、英語じゃなく日本語で話しているのは本人からの希望だ。なるべく聞いたり言ったりして慣れたいそうだ。

勤勉だなぁ……。真面目でちょっと眩しいです。


「うん。いけば、わかる、からっ、て、いってた」


何も言ってないに等しいな。

親父も聞く前に切ったし。……え?説教したのが原因?まさかぁ、大の大人がそんなわけ……ありそうだな。いっつも逃げてるし。

などと考えてると、こっちをじっと見つめられている事に気付いた。正確には俺をだが。


「ん、どうかしたのか?」

「その、めいわくで、したか?」


やめて。その上目遣いと若干潤んだ目で見てくるのやめて。意識して無くてもグッとくるから。

改めて見ても、美少女なんだよな。銀髪と藍色の瞳、それに小さい。身長がって言うより、全体的に。顔とか、手とかね。守ってあげたくなる様な感じ。


「んな事言ってないだろ。今までのに1人分加わっただけだからな。大丈夫だよ」

「そう。なら、よかった……。それと–––」


安心した様に言った後、まだ何かあるのかと、見ているのは悪手だった。


「ふつつか、もので、すが、よろし、くおねがい、します」

「……………ふぁ!?」


こんなセリフを聞くことになるとは………とか思ってる場合じゃねぇ!!何でこんなセリフ言われてんの!?


「おま、どこで、どこでそんな言葉覚えたんだよ!?」

「?パパが、あいさつ、すると、き、いう、ようにっ、ていわれた」


問い詰める様に言われて驚きつつも、そう答えるアイリス。

何言わせてんですか、アイリスの親父さん……。


「でも、にほんの、あいさつは、おじさん、が、おしえて、くれた」


あんたかよ!?親父何教えてんの!?

あと、アイリスの親父さん疑ってすみませんでした。無罪でしたね。

何で当の本人は首傾げてんの?まさかいつ言う言葉か知らないのかね?


「あー、うん。こちらこそよろしく。あと、その挨拶は今後しないように」

「?わかった」


とりあえず、挨拶を返して注意しておいた。アイリスは不思議に思いつつも、一応頷いたのでよしとしよう。

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