第3話 ルームシェア相手ですか?上
普通に驚いた。
さっきも言ったとおり、この学校は偏差値が高い。イコール編入試験もかなり難しい。
「すげぇな。俺は卒業するまで転校生は入ってこないと思ってたぞ」
「俺もそう思ってたんだがなぁ、なんか朝先生達が話してたぞ」
先生達の会話で得た情報か、なら信憑性はあるな。
「しかも、女子だぜ」
そこまで分かってるのか。先生の会話が筒抜けなのか、コイツが聞き耳を立ててたのか……。多分後者かな。
そんなことを考えていると予鈴が鳴り、グランは自分の席に戻って行った。
§
しばらくすると先生が入って来たようだ。ん?なぜ『ようだ』と言ったのかだって?そりゃ今読書中だからだよ。朝のHLは貴重な読書時間だからな。
「皆さんー、顔を上げてくださいー」
担任の先生が言うがもちろん俺は読書中。
ちなみに、このクラスの担任の先生はおっとりとした女性だが、怒るととても怖い。怒鳴るのではなく、笑顔で淡々と叱ってくるタイプ。しかも、その笑顔は目が一切笑ってない。
「皆さんの新しいクラスメイトを紹介しますー。入って来てくださいー」
扉が開き入って来た直後、クラスの皆が息を呑んだ。気がする。
「自己紹介をお願いしますー」
「はい。イギリスから、きました。アイリス・リィン・華神、です。よろしく、おねがい、します」
よく通る声だ。言い慣れないであろう日本語を辿々しくもあるものの、鈴の様な凛とした声で言った。
「はい、上手に言えましたねー」
先生が褒めている。その声が近づいているような気がするが……気のせいか。
「アイリスさんの席はー、先生の話を聞かずに読書している神崎君の隣ですー。あと、校内の案内等もお願いしますねー」
先生の声が近くなっている気がする。いや、気のせいだ。……気のせいでありたい。
「それでは神崎君。本、しまいましょうか」
嫌な予感がした時、視界の端に先生が手を振り下ろしたのが見えた。と同時にとっさに本を引いたら、本のあったとこに手が降って来た。降って来たとはおかしいかもしれないが、実際凄い速さだった。
「……先生?」
おそるおそる顔を上げてみると、そこにはにっこりと笑っている(目が笑ってない)先生がいた。
「やっと気付きましたかー?先生、ずーっと話していたのに、神崎君、全然聞いてくれなかったですよねー?」
「あー。いや、そのー、ね?」
「言い訳は思いついてからしてくださいー」
あ、言い訳していいんだ。
「もちろん、言い訳は認めませんよー?」
ダメでした。
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