第4話 ロシア世論の暴走
大抵の人はロシアの世論が政権に圧力をかけている、と聞くと、戦争反対派、ハト派の人間たちのことだと思うだろう。しかしどうやらちがうらしい。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9149a6566e588b5917b5ce18f834f08f47b9bb85
加熱しているのは、戦争推進派、タカ派の人間たちであった。これは結構嫌な話だ。日露戦争のときの話をするが、ポーツマス条約締結の際、ロシアから賠償金が獲得できなかったため民衆は日比谷焼打事件を起こした。このことはご存知であろう。
しかし、重税もあっただろうが、民衆にはロシアへの戦後交渉をより強硬にして欲しいと思う理由がもう一つあった。それは、報道の誇張である。日露戦争が苦難の末の一応の勝利であることを現在の私達は知っているが、当時の国民は知らなかった。戦意発揚のために軍部が戦況を脚色して公開し、日本はロシアに余裕のうちに勝利したように見せかけてしまった。
そのため、圧倒したくせに妥協的な立場を取ったとして誤解した国民たちは日本政府への怒りを爆発させたと言う訳だ。
第一次世界大戦の長期化にもこれも関係があったらしい。政府に敵意を掻き立てられた国民たちが政府を熱烈に支持して戦争終結が遅れるというケースは多い。
今回もそのようなケースであったとしたら、事態はまだまだ膠着するかもしれない。ロシアが矛を収めるタイミングがどんどん遅れていってしまう。
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