接続詞③ 仮定の話を短くする

 接続詞や副詞の中には、始まりと終わりを対応させなければならないものがあります。

 文頭に仮定の副詞「もし」「仮に」「万が一」を置いた場合、仮定の部分の終わりは「……なら」「……たら」「……すれば」「……場合」などにする必要があります。


 とはいえ、文頭にこれらの言葉を置いた時点で、大抵の方は問題なく対応関係を作れると思います。

 実際、この手のミスはごくたまにしか見かけません。


 私から申し上げておきたいのは、仮定の話が長くなりすぎないように注意しましょうということです。


「もし核戦争が起こって、A国もB国も、いや、世界中の国々が焼け野原になり、都市が機能を停止し、強すぎる放射能が空と大地を覆い、世界中の人々が明日の暮らしにも困るようになったら、僕は子供たちに何を語ろう?」


 1文を長くすると、たしかに語り口に合わせて読者の感情を動かすという効果が狙えますが、読者は一種の緊張状態を強いられることになります。

 また、文脈にもよりますが、「もし」「仮に」に対応するのは「……なら」以外にも、「……としても」なども考えられるので、その意味でも、仮定の部分が長すぎると話が見えづらい印象になります。


 例文の場合、一度短く切ることで、仮定の話が長くなっても読みやすくすることができます。


「もし核戦争が起こったらどうしよう。A国もB国も、いや、世界中の国々が焼け野原になり、都市が機能を停止し、強すぎる放射能が空と大地を覆い、世界中の人々が明日の暮らしにも困るようになったら? そのとき、僕は子供たちに何を語ろう?」

 あるいは

「もし核戦争が起こったら、僕は子供たちに何を語ろう? A国もB国も、いや、世界中の国々が焼け野原になり、都市が機能を停止し、強すぎる放射能が空と大地を覆い、世界中の人々が明日の暮らしにも困るようになったら?」


 私の力不足で、例文ではあまりしっくりこなかったかもしれませんが、ご自身の作品にも仮定の話が長い箇所がないか、初見の読者にも読みやすくなっているか、確認してみてください。

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