第84話 世界への切符
俺たちのアジア大会優勝が決まった。
決着がついた瞬間、会場からは拍手が鳴り響く。
俺と莉央は張り詰めていた緊張から一気に解放される。
重かった肩の荷が降りた感じだ。
【やっぱり優勝はタカモリさんと莉央ちゃんか】
【レベルの高い試合だった!】
【タカモリさん、莉央さんおめでとう!】
【さすが元世界一だな】
配信のコメントも凄い勢いで流れていく。
「やったね!!」
莉央は満面の笑みを浮かべている。
可愛いかよ。
「ああ、本当に勝っちゃったな」
すぐには実感というものが湧いてこないものである。
そして、表彰式という流れになる。
今回もプロホプルの運営会社であるリュアーグの社長自らが表彰を行った。
「タカモリくん、莉央さん優勝おめでとう」
「ありがとうございます」
俺たちは賞状と優勝トロフィーを受け取った。
「次は世界大会進出もおめでとう。頑張ってな」
「「はい!」」
アジア大会で優勝した俺たちは、無事に世界大会への出場権を得ることができた。
次は約半年の時間を経て、世界への挑戦が始まるのである。
表彰式を終えると、控え室へと戻る。
そこにはマネージャーの白瀬さんと親父と妹の柚月が居た。
「お疲れ様」
そう言って親父は俺の肩にポンと手を置いた。
「おにい、優勝おめでとう。二人ならできると思ってたよ!!」
「二人とも応援にきてくれてありがとう」
親父は相当忙しくなっているにも関わらず、時間を作って会場にきてきれたのだ。
「息子の大勝負の日に仕事なんてしてられるかよ。本当におめでとう二人とも」
莉央にも優しい視線を向けて言った。
「タカモリさん、莉央さん、ここから忙しくなりますよ!! 覚悟しておいてくださいね!!」
白瀬さんは嬉々として言った。
俺と莉央が優勝したことは配信で既に世界中に知れ渡っている。
アジア大会で優勝したとなればそれはもう凄い数の案件がくるだろう。
事実、事務所には俺と莉央への問い合わせの電話が殺到しているらしい。
「覚悟しておきます」
「任せてください!」
ちょうど、ここから学校は長期休みに入る時期である。
いつもより案件は受けやすくなる。
俺は一息ついてスマホを見る。
SNSの通知は99件+になっている。
「うわ、凄いことになってるよ」
「私も」
俺たちのSNSには優勝祝いコメントで溢れていた。
そして、各SNSでトレンド入りしている。
「じゃあ、そろそろ帰りますか」
「ですね」
俺たちは優勝トロフィーを手にアジア大会の会場を後にした。
世界への挑戦は今、着実な一歩を踏み出したのである。
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