第63話 莉央のゲーム部屋
週末になり、今日は莉央とのゲーム合宿の当日である。
夕方、俺は莉央のマンションを訪ねた。
インターフォンを押すとすぐに莉央が出る。
『今、そっち行くからちょっと待ってねー』
そう言われ、俺はそのまましばらく待つ。
数分後、莉央がエントランスから出て来た。
莉央は黒のショートパンツにもこもこの上着を着ている。
女の子の部屋着という感じである。
「じゃあ、行こっか!」
「行くってどこに?」
「スーパーに買い出しだよ! 合宿するんだから必要でしょ!」
泊まりになるのだから、飲み物やお菓子などを買うらしい。
俺もそこまで頭が回っていなかったので、カバン一つで来てしまった。
「1人で行こうかとも思ったんだけど、どうせなら一緒に行きたいなって思って」
「そうだね。俺も何も考えてなくて申し訳ない」
「いいよ。一緒に買い物した方が楽しそうだし」
俺たちは並んでスーパーまでの道のりを歩く。
数分歩いてスーパーに到着する。
俺は買い物かごを手に持った。
「諒って普段お菓子とか食べるの?」
「あんまり食べないかなぁ。でも、甘いものとかは好きだよ」
俺は普段からお菓子を食べるという習慣があまりない。
あれば、食べるといった感じである。
「じゃあ、甘いものとしょっぱいもの両方買っておこうか」
莉央はチョコやポテチといったお菓子類を俺の持つ買い物かごに放り込んで行く。
「飲み物どうする?」
「俺はコーヒーかな」
「じゃあ、私は普通にお茶にしようかな」
一通りの買い出しを終える。
俺の右手には買い物袋が握られている。
「重くない? 大丈夫?」
莉央は俺の顔をみて聞いてくる。
「このくらい全然大丈夫だよ」
これでも昔から親父に鍛えられて来た。
この程度では何でもない。
数分歩いて、莉央のマンションに戻って来る。
エントランスを開けて2階、莉央の部屋に通された。
「お邪魔します」
「どうぞー」
莉央は袋に入っている飲み物を冷蔵庫にしまっている。
「そういえば、諒のお父さんの知り合いのセキュリティ会社入れたよ」
一度、ストーカー被害に遭った莉央に紹介した親父の知り合いのセキュリティ会社を莉央は早速契約したようである。
「もう入れたんだ。これで安心できるね」
「うん、紹介してくれてありがとね。なんかめっちゃ安くしてもらって申し訳ないくらいだよ」
「そりゃ、よかったよ」
親父が昔お世話になった人らしいし、元警察官が社長をやっているらしい。
親父のことだから裏で色々根回しはしていたのだろう。
「じゃあ、私のゲーム部屋に案内しまーす」
「お、待ってました」
「こっちだよ」
莉央について行き、廊下を歩く。
「ここでーす」
「おお、すげぇ!!」
白とピンクを基調とした女の子らしいゲーム部屋がそこにあった。
モニターは3枚設置されパソコンもめちゃくちゃハイスペックな物だ。
ゲーミングチェアは俺と同じメーカーの物だが、白とピンクの可愛いデザインになっている。
「いつも配信で見る所だ!!」
俺はそのゲーム凄すぎる環境に興奮をしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます