第64話 ゲーム合宿①
莉央のゲーム部屋はゲーマーからしたら、まさに理想と言える環境である。
「いやぁ、さすが莉央だな。この環境は羨ましいわ」
「諒の方が稼いでるくせに?」
莉央はニヤリとした笑みを浮かべる。
「まあ、賞金とかはもらってるけど、部屋が狭いからモニターとか何枚も置けないんだよね」
金はあっても、置くスペースが無い。
こればかりは仕方ないことである。
高校を卒業したら1人暮らしをして、ゲーム環境を整えようかとも思っている。
これからもずっとプロゲーマーとしてやっていくなら、そのくらいの投資は必要であろう。
「そうなんだ。諒の環境もこのくらいかと思ってた」
「全然だよ。パソコンはそれなりの物使ってるけど、モニターは1枚だからね」
「まあ、私もモニターは正面しかほとんど使って無いから、よこ二つは飾りみたいなもんだよ」
正直、ゲームをプレイするだけなら、モニターは1枚あれば事足りるのである。
「じゃあ、早速一戦やる? 諒はそっちのPC使っていいよ」
「パソコン2台あるんだ」
「うん、そっちは前に使っていたやつだけど、スペック自体はそんなに変わらないはずだよ」
莉央の部屋にはもう一台のパソコンが設置されていた。
莉央が言っている通り、パソコンのスペックは十分過ぎるほどである。
「じゃあ、やりますか!」
「うん! やろう!」
俺は持参したヘッドセットを装着する。
パソコンの前に座り、プロホプルを立ち上がる。
「諒、どこ降りる?」
「青ピンでどう?」
地図上にピンを刺した。
激戦区からは少し外れている所だ。
「おっけー」
「まずは物資を充実させとこう」
「そうだね」
パラシュートでピンを刺した街まで降りる。
周りを確認していたが、この街には敵は降りていないようである。
激戦区と呼ばれる大きな街の方には何人も降りて行ったのを確認できた。
「まあ、向こうは向こうでやり合ってくれるでしょ」
「だねぇ」
開幕から攻めまくれるのもたまにはやりたくなるが、確実に上位を狙って行くなら、わざわざ最初っから突っ込んでいく必要も無いだろう。
それもまた、戦略なのである。
「諒、スナイパー居る?」
「莉央は要らないの?」
「私はアサルトがあればとりあえずはいいかな」
「じゃあ、貰うわ。ありがとう」
長距離が得意な俺からしたら、スナイパーがあった方がやりやすい。
「莉央、物資どう?」
「うーん、回復がちょっと不安だけど、まあ大丈夫かな」
「じゃあ、ここ全部漁ってから移動しまっかー」
俺たちは回復アイテムを探しながら、索敵をして行く。
「俺は物資はおっけーだわ」
だいぶ物資も充実して来た。
これだけあれば、とりあえずは持つだろう。
「こっちもおっけー」
「じゃあ、移動しますかー」
ずっと同じ所に留まるのもよろしく無い。
「だね」
「どこに向かう?」
「エリアの中央向かってく感じにする」
「そうだね。多分、ここエリアから外れそうだしね」
おそらく、次の安全エリア収縮でここはエリアから外れるか、ギリギリ入るかだろう。
次の次の収縮では確実に外れることになる。
それなら、あらかじめエリアの中に入って置く方がいいだろう。
俺たちは移動を開始する。
「一応、後ろクリアリングしておくわ」
「ありがと」
索敵しながら進んでいく。
「諒、正面の木裏」
「あー、よく見つけたね」
「目はいいつもりだよ」
かなり遠く離れている所に居る敵を莉央が発見した。
莉央の索敵の能力は、プロの中でもトップクラスだと思っている。
「行けそう?」
「あれなら、スナイパーで抜けそうだな」
相手はまだこちらに気づいていない。
俺はスナイパーライフルに武器を切り替えた。
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