第27話 桜田凛花とのデュオ

 俺はとりあえず、エリアの中央付近へと向かって行く。


「撃たれてんな。一回降りるよ」


 車を木の真横に停車させる。


「160方面のマンションの屋上。見える?」


 俺は撃たれた方向から敵の居場所を割り出した。


『今の一瞬で居場所見つけたんですか?』

「うん、撃たれた方向は分かってたから、見つけられたよ」


 撃たれた方向が分からなかったら、もう少し時間がかかったことだろう。


「あそこ、二人いるな……」


 スコープを覗くと、二人がこっちを狙っているのが分かった。


『そうですね』

「やれっかな」


 スナイパーで狙いを定める。


「よし、抜いた」


 ヘッドショットを決まると、一人がダウンした。

もう一人の敵が蘇生しようと試みる。


「いや、それは無理でしょ」


 本人たちは射線を切っているつもりなのかもしれないが、全然射線を切れていない。


「はい、終わった」


 マンションから撃ってきた二人とも、確キルまで持って行った。


『ナイスです! 私、全然出番がなかったです』

「まあ、今のは遠かったですから。接近戦からやって行きましょうできるだけフォローしますから」

『ありがとう!』


 今のプレイでコメント欄は盛り上がっている。


【さすがTakamori】

【スナイパー上手すぎんんだろ】

【ちゃんと凛花ちゃん、キャリーしてやれよ】


「そろそろ、安全エリア縮小ですから、エリア入っちゃいましょうか」


 エリアの縮小まで3秒前と表示されていた。


『了解です!』

「ここの家、居ますね」


 エリアにギリギリ入っている家の中で、足音がする。


「多分二階です。一緒に行きましょう」

『わかりました』


 俺と凛花はアサルトを構える。

そして、一気に階段を上がる。


 俺たちに気づいた敵、二人が応戦してくる。

しかし、俺たちの方が撃ち勝った。


「ふう、なんとか撃ち勝てましたね」

『初めてキルしました!』

「ナイスです。おめでとうございます」

『タカモリさんのおかげです』

「いえいえ、凛花さんが上手くなっているんですよ」


 俺は相手の物資を漁りながら言った。


「とりあえず、回復入れておきましょうか」

『はい』


 撃ち勝ったとはいえ、相手の攻撃も食らっていたので、凛花の体力は半分ほど削れていた。


「この試合、勝てますよ」


 敵の残りは四人と表示されている。

俺たちを除いたら、後二人ということである。


「そろそろ、ここもエリアから外れるな」

『移動した方がいいですかね?』

「うん、そうだね。移動しよう」


 家を出ると、エリアに向かって移動を開始する。

後ろはクリアリングしているので、敵は前方のどこかだろう。


「十中八九、右から来ると思うんだよなぁ」


 この地形を考えると、右からきた方が有利なのである。


「ほらきた」


 俺の予想は当たり、敵が二人右から来た。

そして、二人とも倒すことに成功した。


《Champion》


 俺たちの画面にはそう表示されていた。


『ナイスー!』

「おっけ、ありがとう。お疲れー」


 無事、優勝することができた。

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