第28話 日本大会出場者発表①
3戦プロホプルをプレイすると、一時間が経過していた。
『じゃあ、今日はこのへんで終わりにしようかな』
「そうだね。もう、一時間やったしね」
今回は3戦とも勝つことができた。
『みんな、またねー! 良かったら、タカモリさんの方のチャンネル登録もよろしく!』
「よろしくお願いします!」
【凛花ちゃんからきました!】
【チャンネル登録しました!】
【これからも応援しています!】
俺の配信のコメント欄にはそういったコメントが溢れていた。
「ありがとうございます。僕は基本的にゲーム実況が多いですけど、たまに実写動画をやりますので、ぜひ見てください」
【了解です!】
【お疲れ様でしたー】
【また来ます】
コメントを一通り目を通したタイミングで俺たちは配信を終了した。
「今日はありがとうございました」
『こちらこそだよー! すごく楽しかったよ』
「良かったです。僕も楽しかったです」
『うんうん、またやろうね』
「はい、是非」
そう言って、俺は通話を終了させた。
「疲れたー」
ゲーミングチェアの背もたれに寄りかかる。
集中していたのと、キーボードとマウスを操作するのは結構疲れる。
俺は目頭を軽く揉んだ。
「明日もあるし、早めに寝るか」
明日は莉央と会う約束があった。
実写で生配信をするのである。
♢
翌日、17時半に渋谷で莉央と待ち合わせをしていた。
「お待たせー!」
「待ってないから気にしなくていいよ」
そう言って俺たちは並んで渋谷の街を歩き始めた。
「昨日は随分とお楽しみだったんですねー」
「ん? まあ、楽しかったけど、見てたの?」
「まあ、ちょっと気になったし」
莉央は目を合わせずに言った。
「もう、私は要らないのかなー」
「いや、そんなことはない。俺には莉央が必要だ」
俺は事実をそのまま伝えた。
光を失いかけていた時に、新しく光を差し込んでくれたのは、紛れもなく莉央だった。
「そう、ありがと」
莉央は頬を紅く染めて口にした。
渋谷駅から少し歩いて、事務所へと到着する。
今日も、スタジオを押さえていた。
視聴者の人たちに伝えるべきことがあったのだ。
スタジオに入ると、俺たちは配信準備を始める。
今日はゲーム実況ではなく、雑談含めの配信だった。
『【顔出し】高校生プロゲーマーTakamori &リオからのお知らせ』
12分後にライブ配信 ・2022年6月14日 19:00
・44356人が待機しています
そう、今日はプロホプル日本大会の出場メンバーが公式発表される日である。
関東大会はすでに終了しているが、俺たちは実績から日本大会からの出場というふうになるのだ。
俺と莉央がデュオで大会に出ることはまだどこにも発表していない。
だからこそ、視聴者のみんなと一緒に見ようと思って、この配信を企画したのである。
「相変わらず、かなりの人数が集まってるね」
「そうね。まだ、10分前なのに」
ここから、さらに増えるだろう。
今日も、凄い同時視聴者数になることが予想される。
俺たちはソファーに座って、配信開始時間を待った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます